哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

上醍醐寺・五大堂(写真)

2008-08-31 05:19:20 | 写真
妖ありて修験の道を極めたる
聖宝大師は野ざらしに建つ        樋田哲夫

 上醍醐寺の山頂に五大堂が建つ。醍醐天皇の命で建立されたが、度重なる火災で現在は昭和15年のもの。堂の中には木造の五大明王がまつられている。その堂の前の野外に開山の聖宝大師(理源)の銅像が従者とともに坐っている。高下駄に錫杖は修験道の装束であるが、開山たる大師を野ざらしとは畏れ多いことである。

鯉の滝登り(水墨画)

2008-08-30 08:35:58 | 水墨画
滝登る苦労の消えん鯉たちは
ゲリラ豪雨に水かさ増せば       樋田哲夫

 地球温暖化による影響で日本列島に異常気象が続いている。ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的集中豪雨である。短時間に予想を超える雨が河川の氾濫まで引き起こし、住宅に浸水の被害をもたらしている。こんなとき魚たちは住む領域が遥かに拡大し、雀躍して自由奔放に泳ぎ回っているのではないだろうか。 にほんブログ村 美術ブログへ 

月高き 峠(書)

2008-08-29 07:25:10 | 
月高き隠岐は漁火とてもなし       森田峠

 森田峠はこのブログ初登場。大阪生まれ。平成2年阿波野青畝の「かつらぎ」を受け継いで現在にいたる。隠岐は島根県に属し、本州から50㌔の日本海に浮かぶ。後鳥羽上皇、後醍醐天皇の流された島でもある。句は秋の月が高く輝いているが、漁火もない海は暗くて静かである。本州と違って多少の気象状況は違うかもしれない。

上醍醐寺観音堂(写真)

2008-08-28 05:53:46 | 写真
7日前参りし寺は無情にも
雷の怒りに灰となりたり       樋田哲夫

 西国札所の中で第11番上醍醐寺は難所の一つである。麓から観音堂まで約50分の山登りとなる。しかし、裏山からそま道に似た道をたどると、20分足らずで到着する。盆の8月16日に裏道からお参りした。その観音堂が7日後の深夜に落雷により焼失した。自然現象とは言え世界遺産の焼失は誠に残念である。

田舎の風景(水墨画)

2008-08-27 06:08:03 | 水墨画
腐心して画を描く部屋にひと夏の
終わりを告げる法師蝉聞く      樋田哲夫

 8月下旬は季節の変わり目で、気温の変動が激しい。3日前寒冷前線の影響で1日中雨天となった。雷もとどろいた。その翌朝は肌寒ささえ感じ、冷房も扇風機不要だった。いつもの部屋で腐心しながら絵筆を走らせていると、突然庭で夏の終わりのツクツホウシが鳴き始めた。北京五輪が終わって夏が終わり、ツクツクホウシが鳴いて夏が終わった。 にほんブログ村 美術ブログへ

古里に 青畝(書)

2008-08-26 07:25:54 | 
古里にふたりそろひて生身魂      阿波野青畝

 生身魂(いきみたま)は旧暦7月8~13日までの間の吉日を選び、両親の長命を祈って饗応すること。生盆(いきぼん)ともいう。きょうは7月26日で少し過ぎた。作者は古里から遠い地に事情あって暮らしているのか、両親の長命であることを再認識し、感謝している。日ごろの無沙汰を内心詫びている。孝行をしたいころには親はなしというから。

石山寺の硅灰石(写真)

2008-08-25 06:44:41 | 写真
硅灰石の色を形を見るほどに
石山寺は謎迫りくる        樋田哲夫

 石山寺の名の由来となっている天然記念物の硅灰石は参道奥の右側と長い階段を上り詰めた正面に不思議な光景となっている。自然の造詣芸術の産物は人類誕生以前の太古から境内にあり、その神秘な場所に後世人間が神仏の感得により寺院を建立している。また、石山寺はいつ訪ねても花にもめぐり合える。8月はサルスベリ、金糸梅。

田舎の風景(水墨画)

2008-08-24 07:14:27 | 水墨画
早々と穂の揃ふ田に群れなして
風を楽しむ赤蜻蛉らは       樋田哲夫

 盆の前後から秋を代表するアカトンボを見かける。早稲の穂が出始める田の上を群れをなして飛んでいた。そよ風を楽しむように高くも低くもなく一定の高さを泳ぐようにしていた。赤味を差したトンボの総称であるが、よく見かけるのはアキアカネ。先日近くの児童公園の砂場の上で見かけた。田ばかりではないらしい。 にほんブログ村 美術ブログへ  

閻王の 風生(書)

2008-08-23 07:16:34 | 
閻王の紅蓮の舌の埃かな        富安風生

 閻魔王は地獄の入り口にいる番人である。死者の生前の行為の善悪を審判し、地獄極楽行きを裁く。憤怒の形相をして、ギョロ目で口を少しあけている。盆の16日には地獄の釜も休みとなり、こんにゃくを供えるという。句は口の中の赤い舌にほこりが積もっているのを詠んでいる。お身拭いもされずにほこりまみれになっては霊力も失せてしまうだろう。

石山寺源氏の間(写真)

2008-08-22 07:17:33 | 写真
王朝の式部が書きて千年紀
石山寺は催し多し         樋田哲夫

 平安時代中期紫式部による源氏物語が書かれて今年は1000年という。日本が世界に誇る世界最古の長編小説を記念して、今年は各地で関連行事が行われている。石山寺では円地文子の源氏に関する資料が展示されている。本堂には紫式部が源氏物語の構想を練った部屋がり、坐っている式部の人形が置かれている。

サザエ(水墨画)

2008-08-21 06:50:36 | 水墨画
寄りたきを栄螺焼く店我慢して
大王崎の灯台目指す      樋田哲夫

 名のある観光地の灯台は海産物を並べる店が軒を連ねる。志摩の大王崎灯台も例外ではない。バスから降りて灯台までの小道には店が並ぶ。磯の香りが漂い、サザエやイカを焼く店もあり、つい寄りたくなるところを帰りまで我慢して灯台へと向かう。一部石畳の道はうねり坂を上り下りして進むと白亜の灯台へたどり着く。  にほんブログ村 美術ブログへ

松が根に 子規(書)

2008-08-20 07:27:37 | 
松が根になまめきたてる芙蓉かな       正岡子規

 松の根元にフヨウが咲いているのだが、なまめくとあることで句の広がりをみせている。松は多数ある松林ではない。1本だけでも観賞できる枝振りの整った古木がフヨウを引き立て、なまめかしくしているのだ。白ではなくピンクの花でないとなまめいてはこない。松山市常楽寺(六角堂)で明治28年に作句している。

犬鳴山・行者の滝(写真)

2008-08-19 06:40:58 | 写真
踏み入れば身のしまり来て犬鳴は
日照りに細る行者の滝よ        樋田哲夫

 修験道の犬鳴山は信仰の山である。夏でも渓谷沿いは涼風が吹き抜け訪れる人は多い。本堂には倶利伽羅不動尊がまつられ毎月28日は参拝客が特に多い。さらに進んで清浄堂の奥には落差10㍍の行者の滝がある。毎月第3日曜は滝行の1日体験も行われる。訪れた時は日照り続きで滝は細り誰の姿も見かけなかった。

フヨウの花

2008-08-18 07:03:23 | 水墨画
忍び寄る秋の気配につぎつぎと
咲けど芙蓉は一日の花       樋田哲夫

 夏から秋にかけて公園や庭園で見かけるフヨウは2㍍の落葉低木。花や葉は大きく、よく分枝して頂に多数のつぼみをつけ、次々と咲く。一重、八重に白とピンクがある。美しいが一日花で午後にはしぼみ始める。スイフヨウと呼ばれる種は午前中は純白、午後には淡いピンクと変化して酒によっているようでその名がある。  にほんブログ村 美術ブログへ

燃えさかり 誓子(書)

2008-08-17 06:12:15 | 
燃えさかり筆太となる大文字       山口誓子

 盆最後の16日、京都では宗教的伝統行事の一つ「五山の送り火」が行われる。300年以上続くといわれ、文字や形を山の斜面に松明の灯りで表現する。少しずつ時間をずらして点灯される。一ヶ所から全部を見ることは出来ない。特に如意ヶ岳の大文字は有名。句は火勢が最大になったときを書になぞらえて筆太としたところが面白い。