哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

古今集第七十四番桜花(書)

2010-09-30 06:30:55 | 
桜花散らば散らなむ散らずとも
ふるさと人の来ても見なくに          推喬親王

 きれいに咲いた桜の花よ。散りたいなら潔く散るがよい。仮に散らずに頑張っても、里人はお前を見に来てはくれないのだから。

水無瀬神宮の名水百選(写真)

2010-09-29 05:08:04 | 写真
四季問はず人ら並びて求め来る
離宮の水は名水百選        樋田哲仙

 大阪府・島本町の水無瀬神宮は後鳥羽天皇(上皇)、土御門天皇、順徳天皇を祀る。後鳥羽天皇は水無瀬の地を愛し、たびたび行幸された。承久の乱で失敗して隠岐へ配流され、その地で崩御。上皇に仕えた水無瀬信成、親成親子が離宮跡に後影堂を建てたのが始まり。境内には名水百選(離宮の水)があり、大阪府唯一となっている。

渓谷(水墨画)

2010-09-28 06:38:51 | 水墨画
夏もよし秋には秋の谷川は
清き流れに四季受け入れて         樋田哲仙

 日本は地球の公転から作り出される温帯地方にあり、四季が生まれている。それにより熱帯や寒帯にはない美しい四季の景観を味わうことが出来る。暮らしの中の自然の風景は移り変わりとともに装いを変える。それを眺めることで情感豊かな詩歌の文化を誕生させた。俳句短歌がそれである。谷川の流れに映る四季の移ろいも水は受け入れて心を和ませてくれる。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

古今集第七十三番うつせみの(書)

2010-09-27 04:42:18 | 
うつせみの世にも似たるか花さくら
咲くと見しまにかつ散りにけり      詠み人知らず

 現世のはかなく崩れやすいこの世によくも似たるものだ。咲いたと思ったら、桜の花はもう散ってしまうのだから。現人(うつせみ)が平安時代に空蝉の字に当てられて、はかない世とか命の枕詞に使用されるようになった。

洛北三宅八幡神社(写真)

2010-09-26 06:22:18 | 写真
駅名に名前見かけて降り立ちぬ
三宅八幡洛北の夏        樋田哲仙

 叡山電鉄終点の鞍馬の帰り、駅名に八幡前のあるのを見かけて急に降りた。三宅八幡神社ははじめて聞く名前で、駅名に使用されるからには地元では聞こえたはずである。降りて尋ねると分かりやすい道順であった。予想通り神域を持つ立派な神社である。が、誰一人として人がいない。それでも社務所には神職らしき老人が坐り参拝者を待っている。それとも仕事をしていたのかも。

秋の刈り入れ間近(墨彩画)

2010-09-25 06:11:39 | 墨彩画
収穫の秋の来たれば田の色は
黄金の増して刈り入れ間近        樋田哲仙

 二日前まで暑い暑いと挨拶代わりに交された暑さだったが、ひと雨で涼しい秋の到来となった。半そででは寒さを感じる。とてもバイクでは適わない。気温は行きつ戻りつ秋へすすむだろうが、黄金色の増した田圃では極早稲は別として稲の刈り入れが間近となった。台風の襲来もなく米の収量もまずまずの出来に違いない。秋祭りの太鼓の練習の音も聞かれる。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第七十二番この里に(写真)

2010-09-24 06:35:24 | 
この里に旅寝しぬべし桜花
散りのまがひに家路わすれて        詠み人知らず

 どうやら今夜はこの里で旅寝をすることになりそうだ。散り乱れる桜の花の美しさに迷い込んで家路に着くことも忘れてしまって。平安貴族が狩りか野遊びに興じすぎて予定より遅れて途中で旅寝することになったのだろう。

おふさ観音(写真)

2010-09-23 05:03:38 | 写真
ひたすらに余生の無事を祈るのみ
ぼけの封じのおふさ観音          樋田哲仙

 奈良・橿原市小房町のおふさ観音(高野山真言宗別格本山十無量山観音寺)は大和十三仏の一つでぼけ封じで、高齢者から篤い信仰がある。十一面観音の本尊をまつり、大和三山の畝傍山と耳成山の中間に位置する。境内にはイングリッシュ・ローズの鉢植えが所狭しと置かれ、バラ祭が5月15日~6月末までと10月19日~11月末までの年2回開かれる。

水無瀬渓谷(水墨画)

2010-09-22 06:08:57 | 水墨画
滝求め水無瀬渓谷のぼり行く
木漏れ日の坂秋風の吹く        樋田哲仙

 大阪北部の北摂山系に小さな水無瀬渓谷がある。途中にある乙女の滝を求めて尺代の集落から歩いて15分ほど。どちらもはじめて聞く名前で自然同好会のメンバーとの参加である。渓谷は観光客が訪れるものではなく、地元の人たちが夏のキャンプに来る程度のようだ。乙女の滝は対岸の木々の茂みにわずかに見えたが、高さはあるものの落葉しない限り全容は分からなかった。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第七十一番残りなく(書)

2010-09-21 05:26:51 | 
残りなく散るぞめでたき桜花
ありて世の中はての憂ければ      詠み人知らず

 なんの未練も残さずに散ってしまうのが桜の一番見事なところだ。世の習わしで生きながらえていたら、最後は醜い様をさらけ出してしまうのが落ちだ。潔さが花の美しいところだ。

明日香の岩屋山古墳(写真)

2010-09-20 06:21:40 | 写真
日本の歴史の扉開けたる
明日香の古墳ひと日のめぐり          樋田哲仙

 奈良・明日香は日本の歴史の曙といえよう。終末期古墳が目白押しに点在し、順次めぐっても数日はかかる。今回は牽牛子塚古墳と岩屋山古墳を目的に出かけた。岩屋山古墳は一説に斉明天皇陵の一つに数えられていたが、現在の調査で牽牛子に譲った。岩屋山は円墳で径40㍍、高さ13㍍の小山で横穴式石室が花崗岩の切石で出来、自由に玄室まで入れる。

2匹の虎の赤ちゃん(墨彩画)

2010-09-19 04:14:01 | 墨彩画
よきことの聞かれぬままに寅年も
気づけば早も九月の半ば       樋田哲仙

 2,3年続いた振り込め詐欺の話が下火となったら、今年は100歳以上の高齢者の所在不明が問題となった。東京都足立区の111歳の男性の不明に続いて、都内最高齢者の113歳の女性の不明。この2件だけで澄まなかった。横浜、名古屋でも発覚したと思ったら、たちまち全国的に拡大し、住民基本台帳の不確かさに驚くやら、呆れるやら。世界の長寿国も上げ底の感で、世界からの冷笑となった。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

古今集第七十番まてといふに(書)

2010-09-18 05:03:41 | 
まてといふに散らでしとまるものならば
なにを桜に思ひまさまし        詠み人知らず

 散るのを待ってくれという願いに応えて、今しばらく枝に留まっていてくれるなら、私はなにを好き好んで桜意外に好きなものを作るだろうか。あまりにも早く散るので、ほかに心を移してしまうのさ。この歌は読み人知らずとあるが「素性集」にあることから彼の作と思われる。

牽牛子塚古墳見学者(写真)

2010-09-17 06:33:57 | 写真
牽牛子の謎明かされて斉明は
千四百年の眠りを目覚む         樋田哲仙

 奈良・明日香村の牽牛子塚古墳は古墳終末期の7世紀後半の築造で墳丘周囲から帯状に敷かれた凝灰岩の形状が8角形と分かり、天皇陵に見られる特別なことから斉明天皇を埋葬者と結論づけた。以前から外に岩屋山古墳や車木ケンノウ古墳が取り沙汰されていたが、21年からの墳丘調査で確定した。斉明天皇没年とのずれがあることから改葬墳している。

ツクツクボウシの林(水墨画)

2010-09-16 03:39:29 | 水墨画
ここに来て秋の気配の忍び寄る
さては聞けるかツクツクボウシ       樋田哲仙

 ツクツクボウシの声を聞く秋の到来を感じる。それも今年は異常気象で猛暑日が続いて大阪は記録更新をした。例年なら近くの神社の森でうるさいほど聞いたものだが、まだ2回しか聞いていない。寂しい限りだ。暑さもこれで下り坂、朝では涼しく過ごしやすくなった。果たして蝉の声は聞かれるか、一足飛びに秋へ突入してしまうのか。 にほんブログ村 美術ブログへ