哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

小槌にネズミ(墨彩画)

2008-12-31 06:18:16 | 墨彩画
思へどもとにもかくにも子の年は
除夜の鐘聞く日にとなりけり        樋田哲夫

 政治では福田首相が突然政権を放り出した後、絶大な人気で登板した麻生首相の舵取りが怪しくなっている。野党の攻勢に自民党が結束を必要とするとき、内部から瓦解につながる新党結成の動き、法案採決に造反の動きもある。日本国を本当によくしたいのなら与党も野党もない。国の先生方もっと己の器を大きくしてほしい。 にほんブログ村 美術ブログへ

一袋 一茶(書)

2008-12-30 06:41:07 | 
一袋猫もごまめの年用意       小林一茶

 ペットを飼うことは苦手で、面倒臭くて時間もない。猫は犬に比較して世話がかからないという。日課の散歩も必要ないし、餌を出して置けば勝手に食べる。しかし、犬好きのほうが多い。ごまめはカタクチイワシの乾製品で正月などの祝賀に用意され、田作りとも呼ばれる。猫にもごまめを用意するのだから、家族同然で猫好きが分かる。

改修の落柿舎(写真)

2008-12-29 06:28:06 | 写真
改修を知らず落柿舎訪ね来て
遠くより見る失意の嵯峨野     樋田哲夫

 落柿舎は蕉門十哲の一人向井去来が晩年暮らした遺跡。師の芭蕉は3度訪ねていることが嵯峨日記に記している。現在のひなびた庵は夢蝶門の井上重厚の再建によるものという。訪ねたときは改修工事で入場できず、畑を挟んで遠くから見るだけのことになった。ゆっくり俳句の世界に浸ることを予定していたのだがが残念であった。

子年の年の瀬(水墨画)

2008-12-28 06:51:04 | 水墨画
                  (はがき大)
暮れ越せぬ人の溢れし子の歳を
終へて新たな年迎へたし    樋田哲夫

 この1年は世界経済の後退で大変となった子年も終わろうとしている。雇用情勢の急速の悪化で半年間で非正規労働者の失職予想は11月の調査で85、000人以上に急増するという。有効求人倍率も0・76と大幅に悪化。一度職を離れると再就職がきわめて困難となる。早くどん底を脱出して新しい年を迎えたいものだ。にほんブログ村 美術ブログへ 

柚子湯出て 五千石(書)

2008-12-27 06:53:55 | 
柚子湯出て慈母観音のごとく立つ      上田五千石

 五千石はこのブログ初登場。長野上伊那に昭和8年生まれ平成9年に没の現代俳人である。冬至の日に柚子湯に浸かると1年無病息災に暮らせる風習がある。今年は12月22日で現在でもこの風習は残る。スーパーでは山ほど売られていた。香りが良く湯に浮かぶ柚子をもてあそんだのは遠い昔のこととなってしまった。

天竜寺曹源池(写真)

2008-12-26 06:46:43 | 写真
落ち着くは曹源池の石組みを
大方丈の縁に見つめば       樋田哲夫

 天竜寺の大方丈の長い縁に座って曹源池の石組みを眺めていると、日ごろの煩雑さも一時ながら忘れる。寺を訪ねる客は多く会話や人の動きはあるけれども一向に苦にならない。静寂の中に身を置いているような錯覚さえする。日本庭園の奥深い魅力でもある。行き届いた手入れの庭に東洋の禅の心が深くかかわるのだろう。

雪景色(水墨画)

2008-12-25 06:12:13 | 水墨画
雪不足のスキー場には待ちに待つ
この冬初の大寒波らし       樋田哲夫

 先日テレビニュースで雪不足のスキー場が人口降雪機でやっと30㌢のスキー開きにこぎつけて、関係者は神職を呼んでシーズ中の無事と豊富な雪を祈願しているのを見た。クリスマスのきょうの予報は北からこの冬初の大寒気団が北日本一帯に流れ込み、クリスマス寒波と報じた。関係者には待望の降雪となりそうだ。 にほんブログ村 美術ブログへ

青木の実 白葉女(書))

2008-12-24 06:37:37 | 
青木の実紅をたがへず月日経る        柴田白葉女

 白葉女は神戸市生まれ。24年前の77歳のとき、千葉県市川市の自宅で強盗に殺害された悲運の俳人。3日後に犯人は逮捕された。青木は常緑低木で光沢のある葉は鋸歯が粗く触れると痛い。春紫褐色の小花をつけて冬に楕円形の紅の実を結ぶ。千両、万両と同様に長期間実を保つ。日陰を好み家庭では御不浄の脇に植えられていることが多い。

天竜寺(写真)

2008-12-23 07:29:36 | 写真
松年が又造にとぞ受け継がれ
天竜寺の龍雲にて昇る      樋田哲夫

 臨済宗天竜寺は後醍醐天皇の菩提を弔うため足利尊氏が夢窓国師を開山として創建された。以来、8回の大火にあい、現代の堂宇は明治期に再建されている。法堂の天井画「雲竜図」は鈴木松年画伯であったが、傷みがいどく平成になって加山又造画伯に受け継がれた。直径9メートルの円形一杯に躍動して人を迎える。(撮影禁止)

百舌鳥(水墨画)

2008-12-22 07:09:13 | 水墨画
公園の散策に聞くいづこより
寒きに勝る百舌鳥の高鳴き       樋田哲夫

 百舌鳥は9月中旬になると山より里に下りて低木林や公園の森でキイーキイキイキイと高らかに鳴き始める。盛夏の暑さは苦手らしい。次第に寒くなると鳴かなくなるが、先日の初冬に聞いた。縄張りが強く木のこずえに止まって、自分の存在感を誇示するよう見える。長い尾を回転させたり、他の鳥の物まねをする。  にほんブログ村 美術ブログへ

淋しさの 丈草(書)

2008-12-21 07:08:34 | 
淋しさの底ぬけてふるみぞれかな     内藤丈草

 みぞれは雪が溶けて雨まじりに降るもので寒い日となる。時雨と同様激しく降るものではない。ほんの短時間を降るのが普通である。寂しさと寒さを伴う。近畿南部ではみぞれを見かけることはまずないが、見かければ寒いはずだと納得する。句は底ぬけて降るとあるから連連と降る表現に取れる。どの地で詠んでいるのだろう。

遊覧船はシーズンオフか(写真)

2008-12-20 05:18:16 | 写真
十二月中は早くもオフなるか
遊覧船はあまたの憩ふ       樋田哲夫

 嵐山の渡月橋を挟んで、下流は桂川、上流は大堰(おおい)川となる。更に上流は保津川となり保津峡下りで名がある。観光シーズンにはボートを見かけ、川下りの船が次々と最終の嵐山に着く。しかし、12月中旬の土曜にはほとんど見かけなかった。寒くなると水に親しむこともないのだろうか。観光客は大勢出ているのだが。

深山に(水墨画)

2008-12-19 07:20:19 | 水墨画
冷徹なまでの深山にただ一人
わが身を深く見つめてみたし        樋田哲夫

 この画は深山といえるものではないが、自然界の人を拒み続ける山の奥は何か惹かれるものがある。風の唸りや澄み透る空など世塵を離れた世界に身を置く気持ちは若いころから消えることはない。長く住むのではなくほんの数日でよい。仙人が住むような環境に己を磨き上げる、何かがあるような気がしてならない。 にほんブログ村 美術ブログへ

拾ひけり 峠(書)

2008-12-18 07:24:04 | 
拾ひけり更に大きな朴落葉        森田峠

 モクレン科の落葉高木で20㍍を越すものもある。山野に自生、側を通りながら気づかない。だが、晩秋になると落葉し、大きくて裏側は白く目立つ。見かけるとなんとなく拾いたくなる美しさがある。味噌で和えたものをその葉に包んであぶると美味しい味噌煮が出来上がり、ハイキングの一興になるると聞く。

百人一首の小倉山(写真)

2008-12-17 07:23:17 | 写真
小倉山見るたび浮かぶ今もなほ
定家の編みし百人一首        樋田哲夫

 京都・嵐山を訪ねると目にいはいるのがドーム型をした小倉山である。渡月橋から近く、ごく平凡な山である。歴史を知らないと興趣も湧いてこない。百人の歌人の歌一首を撰集した藤原定家が麓に居を構えた山で、その歌集は「小倉百人一首」と呼ばれている。新春のカルタ大会の札となっていて親しまれている。