哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

秋の風 別天楼(書)

2007-10-31 06:48:53 | 
秋の風水の打ちあふひびきかな      野田別天楼

 別天楼(1869-1944)は岡山生まれの俳人。兵庫・報徳商業校の校長を務める。「雁来紅」を主宰、句集に「雁来紅」がある。川や池に秋の風が吹き寄せるとき、岸辺では水が打ち合う音を立てることがある。普通は単なる音程度で終わるが、響きあうと詠んでいるので、風が強いのだろう。季節風か木枯らしであろうか。

泉州YOSAKOI(写真)

2007-10-30 06:46:38 | 写真
               (メーン会場で)
秋の澄むひと日を広き会場に
若きら集ひ衣装の跳ねる       樋田哲夫

 「第4回泉州YOSAKOIゑじゃないか祭り」が10月28日(日)泉佐野りんくうタウン周辺の6会場で行われた。高知からの特別ゲストチームを含む77チームが午前10時の開演から若さを爆発させた。地元大阪を初め京都、和歌山、兵庫、奈良などの外に愛知、三重などの遠来組も加わり、それぞれ派手な衣装で力いっぱい技を披露した。

レンコンとクワイ(水墨画)

2007-10-29 07:22:59 | 水墨画
沼地より茎を伸ばして清らなる
花は仏の前を飾りぬ         樋田哲夫

 ハスは仏教の中で重要視されている。メタンガスを噴出し悪臭の漂う沼地から茎を伸ばして咲く花は清らかで美しい。すなわち、汚れた環境の中にあっても、花だけは純真無垢な姿を見せることから人間もこのように心を持たねばならないという意味らしいl。寺では仏の前によく台として置かれている。レンコンはハスの地下茎。 にほんブログ村 美術ブログへ

秋風の 子規(書)

2007-10-28 07:00:09 | 
秋風の一日何を釣る人ぞ       正岡子規

 好天気の心地よい秋風が吹く一日、釣りを楽しんでいる人がいる。山里の川か池であろうか。海釣りではなさそうだ。釣れる対象の魚が自然と限られてくる。さわやかな秋風が似合い多分池であろう。川となると流れがあり竿(さお)を動かす動作が必要となる。句から来るのどかさはのんびりした釣り人が想像されるからである。

醍醐寺・弁天堂(写真)

2007-10-27 07:43:02 | 写真
醍醐寺の遅々のめぐりに池の面の
落として涼し弁天堂は          樋田哲夫

 醍醐寺は大きく分けて上醍醐と下醍醐になる。下醍醐と呼ばれる三宝院は近年桜の季節に訪ねて名園観賞をしているので、今回は醍醐寺だけにした。金堂、五重塔などをゆっくりめぐり、樹木の奥の中の池には弁天堂と橋の朱が映り、思わずカメラを向けたくなる。新緑や紅葉、雪の季節は素晴らしいことだろう。

レトロの民家(水墨画)

2007-10-26 05:15:16 | 水墨画
明治より昭和にいたる民家には
息吹くレトロの懐かしきかな          樋田哲夫

 明治から昭和初期の民家には一見するだけで明らかに相違点がある。板の外壁、色合い、構造など素朴で重厚である。こうした民家はほとんど見かけなくなった。われわれの一生の間にすっかり様変わりした。生活用具、交通・通信手段、電化製品などどれを見ても急速な発展である。わすか50~60年のことである。 にほんブログ村 美術ブログへ

田舎から 太祇(書)

2007-10-25 07:17:34 | 
田舎から柿くれにけり十三夜         炭太祇

 太祇はこのブログで登場済み。江戸中期の俳人で江戸の人。旅を続け後に京都島原に居を構えた。田舎では屋敷内に果実のなる木をどこでも植えていて、離れて暮らす縁者や知人に贈る。柿、栗、みかん、りんごなどが代表である。一昨夜は十三夜の月が澄んだ空に高く浮かんで、全国的に眺められた。名月と違って天気が安定して観賞しやすい。

醍醐寺・五重塔(写真)

2007-10-24 06:06:38 | 写真
秋空を仰ぐ先には醍醐寺の
力みなぎる塔の相輪        樋田哲夫

 醍醐寺は醍醐山の全山を寺域とするらしいが、入山料を必要とする区域は一部分で、その境内で目立つは高さ51㍍の国宝の五重塔。相輪が全体の4分の1を占め、平安中期の京都最古の木造建築。応仁の乱の戦火を潜り抜けて幸運にも残る。醍醐寺唯一創建当時の建築物。

栗拾い(水墨画)

2007-10-23 07:29:44 | 水墨画
大方は拾はれてゐて見落としの
落ちたる栗を山に見つけり       樋田哲夫

 先日、秋晴れの1日社会福祉委員会から20人弱で、昔の暮らしを体験する催しに参加した。金剛生駒紀泉国定公園にある「里山の自然学校・紀泉わいわい村」の大正から昭和にかけて民家で炊事するものである。それは女性に任せて周辺の山に栗拾いをした。斜面にイガばかり落ちている中に見落としだろうか、子供に帰って数個拾った。 にほんブログ村 美術ブログへ

病むもよし 英治(書)

2007-10-22 08:09:57 | 
病むもよし病まば見るべし萩芒       吉川英治

 英治は明治25年神奈川に生まれる。小学校中退し後、さまざまな職業につき苦労を味わう。講談社懸賞小説に応募し入賞。その後小説家の道を歩き出す。朝日新聞に4年間連載した「宮本武蔵」は大好評を博す。「鳴門秘帖」「新・平家物語」など次々発表。不動の大衆小説家の地位を確保した。病気になるのもよい。なれば萩芒を見るだろうといっている。

朱雀天皇陵(写真)

2007-10-21 06:07:00 | 写真
いにしへも人は増えつつ三方を
住ひの囲む朱雀天皇陵         樋田哲夫

 醍醐天皇陵から600㍍ほどの位置に第61代朱雀天皇陵はある。道路から奥まり、見落としやすいので注意が必要。造営当時は醍醐に続く北端山山麓の僻地であったに違いないが、1000年余の間に人が増えて御陵を囲んでいったのだろう。天皇治世中は関東で平将門が反乱、瀬戸内海では藤原純友が暗躍した時代である。

あきんどの挨拶(墨彩画)

2007-10-20 07:12:53 | 墨彩画
機知に富み道に交せる挨拶を
楽しみてゐる浪速あきんど       樋田哲夫

 大阪浪速の商人の会話はゆったりしているが、昔はユーモアに富んで、一般には難しっかたらしい。 にほんブログ村 美術ブログへ
 一例
   儲かってまっか (儲かっていますか)
   いやもうやや児の行水だんねん (いや、赤子の行水ですワ)
   それなんだんねん (それ、なんという意味ですか)
   足らいで泣いてまんねん (盥で泣いていますワ)盥は不足の意の掛詞

庭師きて 照敏(書)

2007-10-19 05:07:26 | 
庭師きて冬の形をつくりだす      照敏

 平井照敏はNHK俳壇をしばらく担当していたが、平成15年9月急死。語りのさわやかさ、字の書くしなやかさが印象的でテレビ番組を楽しみにした。庭木の手入れは秋に行うのがよい。年を越して2月3月にしていてはすぐ芽が伸びて形が崩れる。秋にする手入れは長い期間整形された庭木を観賞できる。この句の冬の形と表現してところに命が吹き込まれている。

醍醐天皇陵(写真)

2007-10-18 06:14:12 | 写真
静けさのなき街中に醍醐なる
天皇陵の佇まひかな         樋田哲夫

 第60代醍醐天皇は平安時代前期の在位33年の長期天皇である。藤原時平や菅原道真の補佐で治世し、後に「延期の治」と称された。古今和歌集を勅撰している。その天皇陵は随心院から醍醐寺へ向かう途中で見かけて、まさかと仰天した。奈良の各天皇陵と違い街中にあった。

藁塚(わらづか)(水墨画)

2007-10-17 06:27:29 | 水墨画
穫り入れて豊作らしき藁塚に
秋風渡る越を旅行く     樋田哲夫

 40年も前会社の有志で佐渡を旅したことがある。行きは夜行の北陸本線で目にしなかった越後平野が帰りは昼間で広大な田園に驚かされた。田の畦に整列したハンノキの情景が他の地にはないものであった。日本の一大穀倉地帯を列車は大阪へ向かってひた走り、どこまでも長く続いた。 にほんブログ村 美術ブログへ