哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

いきいきと 蛇笏(書)

2009-02-28 06:47:20 | 
いきいきとほそ目かがやく雛かな       飯田蛇笏

 この句に出会って早速スーパーの人形売り場をのぞいた。男びな、女びな、三人官女の目は細く閉じ、弧を描いてどれも同じである。が、眠っているのではなく、一つのパターンがあるようだ。輝く瞳は見当たらない。俳句は理屈をいうのではない。作者の感性がひらめいたものであるからそれでよい。詩文はまことに便利なものでもある。

梅は盛り(写真)

2009-02-27 06:07:32 | 写真
一輪に見えぬ気品が一木と
なりて漂ふ梅の気高さ        樋田哲仙

 いま梅は盛りを迎えて、どの梅林にも人出は多い。梅は一輪だけを見るかぎり、気品は感じられないが、一枝や1本の木につける花となると、気品が漂う。不思議な力を備えている。一輪だけでは小さすぎるのだろう。風上に立って香りをなくしても、気品は出ている。だから、香りは気品に重要な働きはしているとは思えない。長居植物園

威風ある老松(水墨画)

2009-02-26 06:37:37 | 水墨画
「唐崎の松」の銘なる兼六の
古木は四囲の木々従へり      樋田哲仙

 天然記念物に指定される古木は松に限らず、周囲の木々を圧倒して威風を保つものである。中でも樹齢何百年ともなると、見るからに風雪にたえて生き続ける迫力がある。松は日本庭園に不可欠な構成樹木で大小の庭に無関係に植えられ、閑静の中に落ち着きを備える。また、「松樹千年翠」の言葉どおり常盤木である。 にほんブログ村 美術ブログへ
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春寒く 水巴(書)

2009-02-25 06:23:27 | 
春寒く咳入る人形遣かな      渡辺水巴

 気候の寒暖は繰り返し来る。風邪も流行があってマスクをしている人を見かける。この時期スギ花粉の現象も多く見られ、くしゃみや咳は一概に風邪と決め付けることは出来ない。が、この句の咳は風邪と限定してよい。その体調を押して懸命に演ずる人形遣いの一途さは職人気質があってよい。

水仙の盛り(写真)

2009-02-24 07:05:48 | 写真
水仙の一つの花は小さけど
丘を覆ひて気品の香り         樋田哲仙

 毎年水仙を求めてどこかへ出かける予定が、多忙で実らず、とうとう近場の長居植物園で済ませてしまった。大池に突き出た岬の丘に水仙は咲き乱れていて堪能した。小さい花だが群生して開花すると白いじゅうたんを敷いたようになる。淡路島の灘黒岩水仙郷へ行きそびれたが、近場で澄んだ。花言葉は自己愛、神秘、尊重。

野山に霞(水墨画)

2009-02-23 07:24:38 | 水墨画
数日の風弱まりて朝よりの
強き日差しに春めきにけり        樋田哲仙

 数日続いた北風もやんで朝から強い日差しが野や山を覆うと、急に春が到来したようになる。かすみも薄く掛かり、のどかさが漂い始める。心までもが浮き立ち明るさに溢れる。寒さに耐えた重圧から開放されたも同然となる。まだ寒さも繰り返しながら春本番へと向かうだろう。「梅一輪いちりんほどの暖かさ   嵐雪」 にほんブログ村 美術ブログへ

初午や 竜之介(書)

2009-02-22 07:24:32 | 
初午や祠ともりぬ雨の中       芥川竜之介

 初午は2月初の午の日のことで、京都伏見稲荷大社の神が降りた日とされ、全国でお稲荷さんをまつる寺社、企業では祝う行事がある。初の午はまだ寒いことから二の午、三の午で行うところもある。今年の初午は2月6日、二の午は2月18日、三の午は3月2日となる。句は初午であるから、まだ、寒く雨では厳しいが行事を行う人の営みがある。

鯨の骨格標本(写真)

2009-02-21 08:12:51 | 写真
吊るされIし顎より尾へと歩きみる
屋根に鯨の標本の下        樋田哲仙

 大阪市立長居植物園の入り口を入ると、すぐに、屋根より吊るされたナガスクジラの骨格標本がある。1990年4月堺泉北港に流れ着いたものを7年かけて標本に仕上げ、展示されている。全長19㍍の骨格は国内最大級の大きさで圧倒される。その下を思わず顎(あご)から尾の先まで歩いてみたくなる。

ツバキの花

2009-02-20 07:22:23 | 墨彩画
山茶花と椿の違ひ知るにつれ
見分けることの奥深きかな       樋田哲仙

 サザンカとツバキの違いを見分けることに自負心があるつもりでいたが、長居植物園で吊るされた名札を見て自信をなくした。サザンカにカンツバキとある。私の頭の中には咲く時期と蕊(しべ)、花弁の散り方に相違点を見て識別していたが、これが怪しくなってきた。また、しばらく判別に苦労が続きそうだ。 にほんブログ村 美術ブログへ

道の辺の 虚子(書)

2009-02-19 07:50:21 | 
道の辺の阿波の遍路の墓あはれ        高浜虚子

 菜の花の咲く春になると、四国遍路の数は次第に数を増してくる。最近は交通の発達でマイカーやバスを利用しての参拝が圧倒的に多い。が、虚子の時代は日にちを掛ける歩き遍路をさす。発心の徳島県は遍路ころがしと呼ばれる難所があり、体調の悪い人には死へつながる。道行きて倒れた人の墓が道路沿いに散見され胸が痛む。

早春の泉州国際市民マラソン(写真)

2009-02-18 07:45:38 | 写真
声かけて小旗をふりぬ恒例の
泉州駆くる市民マラソン      樋田哲仙

 第16回泉州国際市民マラソンが15(日)の快晴の中行われた。国内外招待選手を含む2800人(内女子290)が早春の泉州路を懸命にかけた。家から徒歩10分の近さのコースとあって毎年楽しみにして声援に出かけ、34㌔地点の長い橋のたもとで選手の力走振りを撮らえた。

だるまさん(水墨画)

2009-02-17 07:29:02 | 水墨画
戻り寒に達磨のごとく手も足も
出さずにテレビ見てゐるひと日       樋田哲仙

 梅が咲き始め、立春も過ぎて、確実に春は近づいているが、きょうは全国的に真冬に戻るという。大阪の最低気温は1度、最高気温は8度と予報が出ている。徐々に冬将軍が南下してすっぽり日本列島を包むらしい。こんな日は外出も控え、部屋に籠ってだるまのように手も足も出さず1日テレビを見ているが良い。 にほんブログ村 美術ブログへ

二もとの 蕪村)

2009-02-16 07:10:44 | 
二もとの梅の遅速を愛すかな      与謝蕪村

 庭にある梅の2本は早咲き、遅咲きの差があるのだろう。どちらの梅も愛しいというのである。梅は春の到来を告げる花木であり、早咲きには格別の喜びがある。が、、蕪村は満開から散りかけたころに遅咲きの梅にも味わいがあって深く観賞いている。気品のある梅を好むものには長期間楽しめるのである。。

早くもチューリップ(写真)

2009-02-15 06:13:07 | 写真
立春を過ぎしばかりの公園に
あでやかなるはチューリップの花       樋田哲仙

 大阪市立長居植物園を訪ねた。30年ぶりかと思われる。大きな公園の中の一角にあり入り口も分からず、人に尋ねる始末。入ってすぐの花壇には早くもチューリップが咲き始めていた。4月下旬から五月上旬にかけて咲く花である。品種なのか、栽培法によるものかは分からないが、華やいで春を強く感じる。

仲良し地蔵(水墨画)

2009-02-14 07:15:31 | 水墨画
立春の過ぎしは名のみ石仏の
顔に氷雨も表情変へず         樋田哲仙

 路辺の石仏で親しまれる京都府当尾の里にはハイキングコースに多数の石仏がある。丘を縫う小道の木々の木陰や辻に立ち、カメラの好適地である。そんな石仏も、このところの気候変化に耐えて表情すら変えることはない。心のうちを顔に出さない豪胆な人間にも魅力があるように、石仏にはどこか相通じるものがある。  にほんブログ村 美術ブログへ