哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

見上げる那智の滝(写真)

2007-08-31 07:03:24 | 写真
切れ目なく一気に落つる滝壷の
岩打つ音に霧雨かかる          樋田哲夫

 落差133㍍の那智の滝の滝口は3筋に別れ、一気に落ちて雄大である。途中でつかえて段を作ることはない。日光華厳の滝のように遠くから眺めることはなく、すぐ真近かで仰ぐように眺められるので迫力満点である。炎暑の中でも霧雨のかかる滝つぼは涼しく、すぐに汗も引く。南紀の一大観光地は年中人の絶えることはない。

深山に月(水墨画)

2007-08-30 05:39:50 | 水墨画
見上げども空のつれなき今宵にて
つぎはいつなる皆既月食        樋田哲夫

 28日は6年ぶりの皆既月食が見られるはずだったが、北海道と沖縄を除いて雲の中の月食となった。天体ショウは好きで楽しんでいるが、今回は無情の曇りで残念となった。NHKニュースの中で、北海道名寄の中継で我慢するしかなかった。ネットで次の皆既月食を調べると2010・12・21とあった。3年4ヵ月後となる。元気で暮らして見たいものだ。にほんブログ村 美術ブログへ 

稲妻に 鳳朗(書)

2007-08-29 06:42:42 | 
稲妻に追わるる瀬戸の夜船かな          田川鳳朗

 鳳朗は江戸中期の熊本藩士で江戸へ出て道彦に学び、天保三大家の一人といわれた。夜の稲妻は無気味で、激しい雨と風を伴っているので逃げるが勝ちといえよう。局部的で進む方向性が分かるので、こちらへ向かっているかは容易に理解できる。突発的に襲われることはない。夜の小舟の作業者は急ぎ港へ引き上げているのだろう。

遠望那智の滝(写真)

2007-08-28 07:08:50 | 写真
太古より那智のお山に一条の
滝は見飽きぬいくど眺めど        樋田哲夫

 大門坂を登りきるとみやげ物店が並ぶ道に出る。荘厳な古道から観光地の雰囲気に急変する。さらに階段を進むと西国三十三観音霊場第1番青岸渡寺と那智大社へ出る。なんど訪ねてもよい古社寺である。寺の横の見晴台から那智山中服に一条の滝が遠くに見えて、炎暑の中の階段で吹きだした汗のこともひと時忘れる。

万をこえたアサガオ(墨彩画)

2007-08-27 07:23:26 | 墨彩画
初めより花を数へて朝顔の
万の願ひをけさ叶へたり         樋田哲夫

 6月13日に2個のアサガオが咲き始めて以来、今朝、万を越えた。76日目のことである。平均1日131個、毎朝咲いた計算になる。7月11日に298個が最高であるが、現在は下降線を下る一方。今後も数を減らしながら、12月までは咲いてくれる。道行く人々の目を楽しませ、お褒めの言葉を頂いた。 にほんブログ村 美術ブログへ

落葉松は 碧梧桐(書)

2007-08-26 01:31:57 | 
落葉松はさびしき木なり赤とんぼ        河東壁梧桐

 カラマツはマツ科でありながら、落葉し冬は裸木の林となる。中部地方の高知に多く見られ、林の中の道を自動車で走ると寂しさの分かる木である。詩人北原白秋の「からまつ」は有名で、簡潔であり、繰り返しを多用していて、時々口ずさむ。この句は白秋より早く、カラマツは誰にも寂しさを感じさせるのだろう。

古道最後の大門坂(写真)

2007-08-25 06:55:20 | 写真
気を鎮めたどり着きたる熊野路の
大門坂の老杉仰ぐ            樋田哲夫

 熊野古道の最後を飾る大門坂は圧巻である。10年も前になるが、JRの駅で杉木立の中の石畳の坂を観光ポスターで見て以来、心に温めていた。しばらくすると、皇太子が坂を登る写真を新聞で見つけ、一層かきたてられた。それがやっと実現できた。緩やかな坂は猛暑でありながら、杉木立が涼しさをもたらし、汗も吹き出ず、楽しいばかりであった。

山奥の岩頭(水墨画)

2007-08-24 06:21:12 | 水墨画
気のままに描いてみれば日本の
いづべ探せどこの景はなし          樋田哲夫

 水墨画は誠に便利なものだ。題材は自由で限定はない。すなわち、何をどう描こうが構わない。頭の中に浮かぶ想像の世界を描けばよい。この景もまず日本にはない光景である。どちらかといえば中国の黄山、桂林に近い景色だろう。奥にある家屋は日本のものになってしまったが、実景描写ではない。小説家の頭の中もこれに近いだろう。にほんブログ村 美術ブログへ 

雲の峰 子規(書)

2007-08-23 07:58:59 | 
雲の峰ならんで低し海のはて        正岡子規

 雲の峰は入道雲のことで夏の季語。暦の上では秋となって残暑なる言葉や文字が目につくが、実際の気温は残暑どころか、猛暑に襲われている。この雲は遠くにあるとき、なぜか低く並び、頂上が太陽の日にまぶしいほど白く光る。暑い日の自然現象でよく見かける。海のはてとあるから大きい情景が浮かんでくる。海の近くに住む者には実感である。

熊野古道・大門坂(写真)

2007-08-22 07:15:27 | 写真
上皇の通ひし坂を千年の
後のこの世に那智の社へ        樋田哲夫

 熊野古道は京都伏見から船で淀川を下り枚方から陸路熊野三山までの300キロをいう。平安末期には最盛期を迎え「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど行列が続いた。後白河上皇は33度、後鳥羽上皇は29度熊野を訪れている。古道最後の大門坂は老杉の中の石畳となり往時そのままである。約650メートルは今も人が通う。

暑さが続くときは(水墨画)

2007-08-21 06:18:12 | 水墨画
逃れ来て山裾深き谷川の
騒ぐ流れに汗も引きたり        樋田哲夫

 まだ暑さが続いて、高齢者にはこたえる。大阪はきょうも猛暑日で連続9日になりそうだ。報道は水の事故に加えて熱中症による死者も伝え、家の中にいても油断は出来ない。こまめに水分補給する必要を伝えている。熱射病から熱中症へと言葉が変わった。地球温暖化の悪影響は間違いない。にほんブログ村 美術ブログへ 

夏山や 一茶(書)

2007-08-20 06:11:09 | 
夏山や一足づつに海見ゆる        小林一茶

 ありきたりのことを表現しているが、言葉の妙は一足づつにある。登るという語はないが、登っている様子が浮かんでくる。夏山と海が見ゆるの二つの言葉を組み合すことで、登っていることが分かる。韻(いん)文の楽しさでもある。17音に凝縮するためには省くことが必要である。一茶は15歳で信濃から江戸に出たので、江戸暮らしに海を見たのだろう。

源氏三代の墓(写真)

2007-08-19 06:12:58 | 写真
               通法寺山門と頼義の墓
標識にハンドル切りて訪ねたる
河内源氏の三代の墓      樋田哲夫

 羽曳野市あたりの道路標識に源氏三代の墓とあって、分からぬまま急きょ立ち寄ることにした。通法寺跡と近くの丘に墓はあった。源頼信、頼義、義家(八幡太郎義家)の三代で、義朝、頼朝の三代ほど先祖である。東北の前九年の役、後三年の役の戦功で武将の地位を確立し、河内の地に居を構えて源氏発祥の地と呼ばれているという。

暑くて海へも(水墨画)

2007-08-18 06:23:18 | 水墨画
秋立ちし後を襲ひてこの猛暑
海へ出かける気力の湧かず       樋田哲夫

 立秋を過ぎてから日本列島を記録的な暑さが襲っている。昭和8年山形市で記録された40・8度が、16日岐阜・多治見市と埼玉・熊谷市で40・9度と更新された。74年振りのことである。大阪は38・1度で出会う人が暑さを挨拶代わりに口していた。海水浴場なら徒歩15分、海だけなら5・6分も出かける気力も出てこなかった。 にほんブログ村 美術ブログへ

かたまりて 子規(書)

2007-08-17 07:14:00 | 
かたまりて黄なる花咲く夏野かな         正岡子規

 ここで詠まれている黄なる花とはツキミソウかオオマツヨイグサだろう。この2つは混同されやすいほどよく似ている。本来は別種という。河原や路傍のやせ地にも勢いよく繁殖する。夕方から翌朝にかけて咲き日中にはしぼむ。初夏のころから次々と咲きあがる。ニッコウキスゲも固まって咲くが湿原、高原に咲くから夏野ではない。