哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

岩肌に石仏群の三滝寺(写真)

2006-07-31 06:23:10 | 写真
三滝寺は本堂脇の岩肌に
石仏多く慈悲の満ち満つ      樋田哲夫

広島市中心地から程近い三滝山にいだかれて三滝寺はあった。苔むした細い参道を奥へ進むと幽谷の趣があり、滝の音と崖を下る瀬音が心地よい。坂を上り詰めると狭い土地に建つ本堂脇の三方に多数の石仏があって驚かされた。

赤く熟した鬼灯(墨彩画)

2006-07-30 07:42:08 | 墨彩画
鬼灯の実を細工してぐいぐいと
口で鳴らすは女の子たち      樋田哲夫

 子どものころの思い出に、ホオズキの実が熟すと女の子たちは、果実の中の種子をうまく取り除いて口の中で吹き鳴らした。決していい音ではない。みんな学校まで持ってきて争うように吹き鳴らしていた。男でやるものはなかった。にほんブログ村 美術ブログへ

青空に  古郷(書)

2006-07-29 06:23:35 | 
青空に手あげて切るや秋桜      五十崎古郷

 明治29年愛媛に生まれる。昭和10年没。石田波郷の師で知られる。10月初旬の澄んだ青空に、背丈のあるコスモスを切る情景が目に浮かぶ。ここではコスモスとは読まず素直に秋桜と読む。

丹波のカラス寺(写真)

2006-07-28 07:44:17 | 写真
丹波路のカラスの寺の襖絵は
親子の愛の生き生きとして        樋田哲夫

 京都府綾部市・楞厳寺(りょうごんじ)の各部屋の襖絵には四季のカラスが描かれて丹波のカラス寺として名が聞こえている。日本画家長井一禾(いっか)が昭和12~13年にかけて滞在し、仕上げたもので、カラスの顔にまで表情がある。3羽のヒナにはオスメスの区別からえさの受け取った仕草までも出ている。

夏はきぬ(水墨画)

2006-07-27 07:36:14 | 水墨画
今年また夏の来にけり里山に
響ける声は山杜鵑       樋田哲夫

 初夏になると渡り鳥のホトトギスの声が聞けるようになる。けたたましく甲高い声は遠くまで響く。木陰を好み姿を見かけることは少ない。聞きなしは「特許許可局」や「テッペンカケタカ」となっている。 にほんブログ村 美術ブログへ

滝の上に  夜半(書)

2006-07-26 07:51:44 | 
滝の上に水現れて落ちにけり       夜半

 これほど単純明快な写生俳句は数少ない。情景描写をそのまま並べただけである。大阪出身で虚子門の後藤夜半は北摂の箕面の滝(落差33メートル)で詠んだものである。虚子がこの句を絶賛したことでも有名である。

蓮の花咲く法金剛院(写真)

2006-07-25 06:38:31 | 写真
あはれなり法金剛院の蓮池の
浄土の花は雨に打たれど       樋田哲夫

 京都市・花園近くの法金剛院は蓮の種類が豊富にあり、約80種という。寺の池の蓮は季節になると見事にカラフルな花をつける。池だけではなく鉢植えも多い。約20年前NHKでのテレビ放映があり、以来寺名を広げたらしい。

へちま(水墨画)

2006-07-24 12:01:35 | 水墨画
洗顔によしとて茎の切り口を
瓶に受けとる糸瓜の水は      樋田哲夫

 実を収穫したあと、根元から30センチほと残して茎を切り、瓶に差し入れておくと、ヘチマの水が沢山取れる。一升瓶でも少し放置いておくと溢れてしまう。マメに取り替える必要がある。昔は洗顔溶液として女性の化粧水となっていた。この水は腐り悪臭を放つこと。

赤とんぼ 子規(書)

2006-07-23 05:32:34 | 
赤とんぼ筑波に雲もなかりけり      子規

 岩船寺の駐車場でバスから降りると赤とんぼが飛んでいた。年老いた女性が目ざとく見つけて仲間に大きな声で教えたことから私も気づいた。里山のわずかに開けた畑の上を数匹が楽しそうにである。8月の盆なら理解できるが、7月の上旬とは早すぎる。確かにアキアカネのようであった。
 {お詫び}短冊は「雲の」となっているが「雲も」が正しい。

岩船寺本堂(写真)

2006-07-22 07:45:54 | 写真
慈悲深き弥陀の光にしばらくを
ただ吾一人動かざりけり    樋田哲夫

 石仏めぐりで有名な当尾の里・岩船寺は本堂以外に建物らしきものはないが、堂内に足を踏み入れると、平安時代の大きな阿弥陀如来坐像(重文)が目に付く。住職によると宇治の平等院・鳳凰堂の阿弥陀如来より100年古いという。金箔(きんぱく)も剥落がひどいが偉容に圧倒される。撮影禁止

青の朝顔(墨彩画)

2006-07-21 05:45:49 | 墨彩画
梅雨中を漏斗の如く雨受けて
懸命に咲く青の朝顔       樋田哲夫

 漏斗(じょうご)は朝顔の花の形をして、ビン、つぼなどの口にはめ込んで、酒、しょうゆ、油などの液体を注ぎいれる器具。
 雨の日の朝顔は雨水を受けて、重たくなり細い花柄は耐えて咲いている。溢れては元の姿に戻りながら頑張っている。 にほんブログ村 美術ブログへ

浮き草や 千代女(書)

2006-07-20 08:09:49 | 
浮草やてふの力のおさへても    千代女

 この句は正直言って千代女の句か、まだ確認が出来ていない。どこかで、何かで見かけたものを以前にしたためたものである。そんなものをブログに公表するのはいささか早計かもしれない。もし、別人の句であれば指摘していただきたい。
 浮き草と蝶の力の組み合わせに豊かな感性を見て感心したものである。

朱に映える三重塔・岩船寺(写真)

2006-07-19 07:34:21 | 写真
あぢさゐの岩船寺には小高きに
朱の新たなる三重塔        樋田哲夫

 京都府相楽郡の岩船寺は20数年前に一度訪ねたことがある。当時は今日ほど寺をめぐる人は少なく、寺域の小ささと塔の荒廃が目立ったが、今回の訪問で3年前に新装なった朱の三重塔(重要文化財)があじさいの花の中に浮かび、杉木立に包まれて素晴らしい光景となっていた。

バラ一輪(墨彩画)

2006-07-18 06:47:15 | 墨彩画
バラを見に出かけることのなきままに
時うつろひて六月に入る        樋田哲夫

 今年は特に忙しくバラ園を訪ねることができなかった。沢山の品種と株数をそろえているバラ園はどこにでもある。近くの浜寺公園はなんどもいったことはあるが、バラの開花期には一度もない。日本の原種20品種、500株、園芸品種230種、6000株という。来年のことにしてしまった。にほんブログ村 美術ブログへ

五月雨や 蕪村(書)

2006-07-17 05:13:30 | 
五月雨や大河を前に家二軒     蕪村

 安永6年、62歳
 数年前、日本野鳥の会大阪支部主催の淀川定例探鳥会に参加した。出発地近くのの毛馬の閘門(こうもん)の堤防上にこの句碑を見かけた。現在の淀川は川幅が1キロ弱はあって、対岸の家など遠すぎて描写できない。淀川と大和川の付け替え工事は江戸前期であるから蕪村が詠んだ当寺は現在の川幅であるはずだが、この句のイメージとは異なる。