哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

越後節 一茶(書)

2008-10-31 07:44:42 | 
越後節蔵に聞こえて秋の雨      小林一茶

 千葉・流山の造り酒屋秋元三左衛門の立ち並ぶ蔵には越後から出稼ぎで働く杜氏がいて、作業しながら越後節を歌う。その歌声の流れくるのを聞いた一茶は古里を懐かしんで句にした。晩秋の雨は冷たく降っていたのだろう。労働歌は出稼ぎが広めたものだが、各地を歩き生活の糧を得た盲目の瞽女(ごぜ)も広めたようである。

天空の楽園(写真)

2008-10-30 07:25:34 | 写真
十分のゴンドラの旅谷越えて
天へと続く空の楽園       樋田哲夫

 長野・下伊那の「ヘブンそのはら」は天空の楽園である。麓から10分の富士見台高原ロープウエイでセンターハウスやマウンテンロッジなどがあるリゾート地へ着く。。さらにリフトで展望台(1600)まで上ると一気に視界は開け、南アルプスの山々が雲海の上に顔を出すが、まだそこでは富士山は見えない。晴れていても10月半ばはもう寒い。

秋の城跡(水墨画)

2008-10-29 07:43:31 | 水墨画
また一歩季節の移り城跡は
次第に視界広げいく葉は        樋田哲夫

 日に日に冷え込む季節をむかえて、各地から紅葉の便りが届いている。昨年7月梅雨も明けない暑い一日を奈良・高取城跡を訪ねたことがある。日本三大山城の一つで山頂(538・9㍍)に広大な城跡のみが残っていた。木々や草が茂っていたが、冷え込みだしたこの時期を想像して作歌してみた。にほんブログ村 美術ブログへ 

新米の 虚子(書)

2008-10-28 07:44:00 | 
新米の其一粒の光かな         高浜虚子

 新米の言葉は深い考えもなく使用されるが、定義らしきものがある。生産されて当該年の12月31日までに精米され容器に入れて販売される米という。いささか疑問である。生産者が自家用に消費する場合は販売と無縁である。古米との違いは粒の表面に青みの筋があり、一見で判別できる。それの強いものを光と感じたのだろう。軟らかくて美味しい。

雨の日のコスモス(写真)

2008-10-27 05:52:45 | 写真
休日のぱらつく雨に咲き誇る
コスモス畑は人影もなし       樋田哲夫

 きのうの日曜日が好天ならば各行楽地やイベント会場は最高の人手となったはずであるが、残念ながら小雨となってしまった。本降りでもなく、晴れるでもなく時々雨の天気となった。近くの農業公園のコスモスが見ごろを迎えているとテレビで知って出かけたが、人影は全くなくコスモスの花は盛りで見事であった。

秋空にトビ(水墨画)

2008-10-26 07:18:42 | 水墨画
秋空に番の鳶の舞ひ上がれ
交す鳴声掻き消えるまで       樋田哲夫

 快晴の秋空は気分が快適になる。小高い丘に上ると景色が一段とよく見え、他の季節に比較して秋は湿度が低いためか、遠くまで鮮明となる。澄んだ青空に番(つがい)のトビが輪を描きながらかん高い声で鳴く。つい見上げたくなる。風に乗って次第に高度を上げる、もっとどこまでもあがれと思いたくなる。  にほんブログ村 美術ブログへ

秋風や 一茶(書)

2008-10-24 20:38:16 | 
秋風や水(み)かさ定まる大井川       小林一茶

 年間降水量の多い南アルプスの険しい山岳地帯を南下する大井川は太平洋へと続く。駿河国と遠江国の境界線であったが、氾濫(はんらん)が多く流路が変わり国境だけに争いを生じた。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」の言葉にあるように昔の川越は大変であった。秋は雨が少なく一定となって越えるる計画が立てやすかったのだろう。

飯田は水引の里(写真)

2008-10-24 06:58:50 | 写真
脇役に徹して物を引き立つる
飯田の街の水引みやび       樋田哲夫

 長野県南部に位置する飯田市は中央自動車道を小牧から恵那山トンネルを抜けるとすぐにある。江戸時代から伝統工芸の水引が全国シェア70%。結納品に欠かせない飾りの外、のし、アクセサリー、フラワーアート、イアリングなど用途は多岐にわたり、日本人なら誰もが目にしている。写真は菊人形ならぬ水引の作品。

紅葉の計画に雨(水墨画)

2008-10-23 07:36:20 | 水墨画
紅葉の計画立てどここにきて
三日も続く雨降る予報        樋田哲夫

 天空の紅葉に華やぐ大台ケ原は近畿の名所である。頂上までドライブコースが整備されて簡単に行きやすい。最近紅葉の様子の写真を新聞で見かけて急に出かけたくなった。だが、天気予報は三日続きの雨天とあり、中止せざるを得ない。はたして、予報どおりその日になると雨天で中止の判断はよかった。雨に煙る山は危険である。  にほんブログ村 美術ブログへ

地下を出て 湘子(書)

2008-10-22 05:38:46 | 
地下を出て地下より暗し秋の暮       藤田湘子

 「秋の日は釣瓶落とし」の言葉がある。秋の日の暮れやすいことをいう。日照時間が短く、すぐに日が暮れることを実感するのは冬至前のころになろう。地下街は深夜まで蛍光灯や照明で昼のように明るい。地下へ入ってしばらくして外へ出ると辺りはすっかり日が暮れていてびっくりすることはよくある。小寒くてつい急ぎ足になる。

迫力満ちた天竜峡(写真)

2008-10-21 06:23:33 | 写真
そそり立つ岩の迫りて天竜の
清き流れは疲れを癒す          樋田哲夫

 峡谷はどこにでもあるが、全国に名の知られた天竜峡は川幅が狭まり、両岸にそそり立つ白い花崗岩は変幻に富んで目を楽しませる。急流の青い流れは激しくもまれながら岩に砕けて涼感を呼ぶ。岩の上には常緑樹や落葉樹が混在して四季の変化に絶景をかもし出している。日本の四季の風景は最高といえよう。

落葉間じか(水墨画)

2008-10-20 07:11:55 | 水墨画
澄む空にしのびて秋の深まれば
葉を落とし行く木々の定めに        樋田哲夫

 テレビニュースに高山の頂から紅葉の始まったことを伝え出した。ブナ、カエデ、ナナカマドなどの色づきが麓へ急速に下りつつある。新聞では近畿の屋根といわれる大台ヶ原日出ヶ岳(1695)の紅葉の様子を航空写真で載せた。もうすぐ里にも到着する。川の水も冷たくなり冬鳥の飛来が見られるようになる。 にほんブログ村 美術ブログへ

憂さ晴れて 碧梧桐(書)

2008-10-19 06:42:29 | 
憂さ晴れてそぞろに行けば野菊かな     河東碧梧桐

 憂さは深刻な悩みではない。なにかあることが気になって心配で心が晴れない。そんな憂さも取れて野道をゆっくり歩いていると、野菊が目に入って秋を実感しているのだろう。日差しもあって寒さもないそんな歩みが想像される。10月も後半、菊花大会の情報も入り出した。公園、神社で展示される丹精込められた芸術作品を見るのも楽しい。

天竜峡の舟くだり(写真)

2008-10-18 05:47:33 | 写真
秋陽さす天竜峡の水面より
見上ぐる岩に舟とどまらず      樋田哲夫

 諏訪湖を水源として長野、愛知、静岡を経て太平洋に注ぐ暴れ川の異名を持つ天竜川は急流である。飯田市の天竜峡温泉港乗船場からつつじ橋(つり橋)間は両岸が迫り、絶壁の花崗岩と青松が名勝の天竜峡と称えられている。書家の日下部鳴鶴が訪れて剪定した奇岩を天竜峡十勝と命名した。年間60万人の観光客が訪ねる名勝である。

秋陽に光る柿(墨彩画)

2008-10-17 06:47:41 | 墨彩画
揺らぎつつ秋陽に光る塀越しの
たわわに実る柿は寺より         樋田哲夫

 秋草の花が寺の境内を埋め尽くして満喫した後外へ出ると、たわわに実る塀越しの柿が陽光にまぶしくカメラを向けたくなる。冨有柿で手に届くところにせり出しているが、誰も失敬する気配もない。地域の人の心は純朴なのか、眺める者まで穏やかになる。快晴の秋に実る果物は色を変えて風情を増してくれる。  にほんブログ村 美術ブログへ