哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

ケイトウ(墨彩画)

2009-09-30 06:10:48 | 墨彩画
紅葉の便り聞くころ空晴れて
花の畠に冴えし鶏頭       樋田哲仙

 秋が深まるころ、ドライブの道端にケイトウが目立つようになる。種類が多い中で鶏の鶏冠(とさか)に似たケイトウがよい。頂上部が重いほどに実をつけて長く楽しめる。農家では屋敷の周りに仏壇に供えるための花畑を作り、年中小花が咲くようにしているが、これからはケイトウや小菊が見物である。  にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第五十二番明けぬれば(書)

2009-09-29 05:21:24 | 
明けぬれば暮るるものとは知りながら
なほ恨めしきあさぼらけかな         藤原道信朝臣

 夜が明ければ、また夕方が来て、あなたと会えることは分かっているのだが、しばしの別れがなんともわびしくて夜明けは恨めしくて仕方がありません。平安時代の男女の逢瀬は男が女の家に通っていた。夕方に来て明け方帰る習わしであった。

竹田城跡南千畳(写真)

2009-09-28 06:37:54 | 写真
聳え立つ南と北の千畳は
翼鶴のごと竹田の城跡        樋田哲仙

 但馬の国に400年前、現在の姿が完成したという竹田城跡は天下屈指の山城であったに違いない。城郭は穴太(あのう)積みで安土城や姫路城の工法と同一。素朴で頑丈、本丸の天守台からは南千畳、北千畳が張りだし、鶴が翼を広げたような広大な遺構が見える。竹田城跡は日本三大山城((高取城跡、岩村城跡、備中松山城)には入らないのが不思議である。

実りの棚田(墨彩画)

2009-09-27 05:14:08 | 墨彩画
                   天草上倉岳町

稲作の文化を守り脈々と
棚田の黄金色の映えをり       樋田哲仙

 畦の彼岸花が咲き終わるころ田の稲が黄金色を増してくる。日本の原風景を見る思いがする棚田は各地にある。1999年7月「日本棚田百選」が認定され、大切な水田となっている。急斜面に石垣を築き水路を整えて稲を作る農作は重労働で維持するのが大変らしい。現在観光としても見直され倹約と質素な暮らしが息づいている。 にほんブログ村 美術ブログへ 

百人一首第五十一番かくとだに(書)

2009-09-26 05:32:56 | 
かくとだにえやはいぶきのさしも草
さしも知らじな燃ゆるおもひを        藤原実方朝臣

 こんなにもあなたを恋しているのに私は打ち明けることすら出来ません。きっと、あなたは私の恋をお分かりいただけませんでしょう。これほど私の胸は燃え焦がれているのです。えやは出来ようか、出来はしない。伊吹はもぐさで有名な地名。さしも草はもぐさのこと。燃える恋をもぐさの火にたとえている。

天空の竹田城跡(写真)

2009-09-25 04:48:52 | 写真
登り来て弁当開く天空の
竹田城跡は秋晴れわたる        樋田哲仙

 バスツアーで兵庫県朝来市にある竹田城跡を訪ねた。JR播但線竹田駅西方に古城山(353㍍)山頂に竹田城跡がある。中腹の駐車場から徒歩15分で天空の城郭に到着する。大パノラマの天守台に高見殿、平殿、奥殿、花殿を配し、さたに、鳥の両翼のように南千畳、北千畳を備える。旅行会社の案内に日本のマチュピチュとあった。まさに孤高の山城である。

茸の採れる里山

2009-09-24 06:05:23 | 水墨画
立ち入りのロープ張られて里山は
茸の採れる秋は来にけり        樋田哲仙

 9月下旬ともなると茸(きのこ)の採れるシーズンに入った。近くの里山へは「タカの渡り」のバードウオッチングに出かける時期で、両方が重なる。山の権利を得た人らがこの時期盗難予防のためにロープを張り巡らしてしまう。ロープが張られると山の奥へは入れなくなる。鳥の観察はしばらく里山では満足できなくなる。毎年これの繰り返しである。 にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第五十番君がため(書)

2009-09-23 06:19:24 | 
君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな           藤原義孝

 あなたにお会いするまでは、自分の命を惜しいと思ったこともなかったのに、お会いしてみるとあなたを愛するあまり、いつまでも長く生きたいと願うようになってしまいました。小一条摂政伊尹の三男で子供のころから歌才があったらしい。

熊野徐福公園(写真)

2009-09-22 06:13:48 | 写真
皇帝の命に不老の仙薬を
求めて倭へと徐福の説話        樋田哲仙

 秦の始皇帝は不老不死の仙薬を探させたが自国では見つからず、遂に、国外へ求めた。その任に徐福が命ぜられた。85隻の船団に3000人を日本へ派遣し、財宝と穀物を満載して船出したという。到着したという地は日本に多い。和歌山、青森、京都、福岡、秋田、佐賀、鹿児島と各地にある。熊野では公園まで造り重要な史実に仕立て上げている。2200年前の話。

湯飲みと茶瓶8水墨画)

2009-09-21 06:25:50 | 水墨画
しばらくを忘れゐしのに茶を淹れる
涼しくなりて朝のひと時       樋田哲仙

 朝の涼しさが心地よくなった。暑い暑いと口にして汗をぬぐっていたのが過ぎ去って、秋を迎えた。布団も胸に浅くかけないと寝られない。半袖より長袖に朝だけ着たくなる。しばらく忘れていたお茶を楽しむことも思い出したように道具を取り出す。盛夏は確実に移り変わた。スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋、食欲の秋と多彩な秋の到来である。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

百人一首第四十九番みかき守(書)

2009-09-20 04:36:35 | 
みかき守衛士のたく火の夜はもえて
昼は消えつつ物をこそ思へ       大中臣能宣朝臣

 思う人のことばかり休むことなく思いつづけています。夜は夜で一晩中胸を焦がし、昼は昼で、また思い浮かべるばかりです。みかき守は御垣守と書き、御所を警護する者。今でいう皇宮警察のような人。諸国から1年交代で呼び出して護衛につかせていた。能宣は三十六歌仙の一人。

浮島の森(写真)

2009-09-19 05:33:47 | 写真
強風に動くを聞きてにはかには
信じ難きの浮島の森         樋田哲仙

 新宮市には全国でも珍しい島全体が池にぽっかり浮かんでいる森がある。どこから見ても浮いているとは思えない。総面積5000㎡で草木が生い茂り大木もある。真ん中には遊歩道も設けられて人が踏み込める。何人入ってもびくともしない。強風が吹くと左右へ移動する。植物も130種類生え、寒暖両性が混生群を作る。

穏やかな入り江(水墨画)

2009-09-18 05:50:07 | 水墨画
ウミネコの舞へる入り江は深くして
穏やかなれど船人もなし        樋田哲夫

 釣りを楽しみ、魚を食する人が少なくなった。船より投網を打つ光景はなおさらである。漁法が変ったのかもしれない。琵琶湖東岸の近江八幡、安土、能登川辺りは大きな池がいくつもあり、葦の群生も見られて、小魚の生息が予想されるが、生活と漁の形態が変化したのだろう。時代と共に全ての暮らしが大きく変貌してしまった。  にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第四十八番風をいたみ(書)

2009-09-17 07:21:22 | 
風をいたみ岩うつ波のおのれのみ
砕けて物を思ふころかな        源重之

 激しい風が吹いたときに起きる荒波が岩に勢いよく当たって、もろく砕けるのは虚しいものである。それと同じで、あなたに冷たくされると、心がいとも簡単に萎えて虚しくなってしまう。どうしていいのか悩んでいるところです。重之は三十六歌仙の一人。

新宮神倉神社(写真)

2009-09-16 06:18:04 | 写真
松明を持ちて男ら駆け下り
神倉山の暴れ龍かに       樋田哲仙

 植物観察会から新宮市の神倉山を訪ねた。千穂ヶ峰南端に位置する神倉山はごとひき(ひきがえる)の鎮座する神社がある。ふもとの鳥居から自然石の急な階段を583段で山頂に着く。神倉神社は毎年2月6日夕刻「お灯まつり」が行われ、松明も持った締め込み姿の男たちが山頂から一気に競って駆け下る勇壮な火祭である。