哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

強風を避けるサギ(墨彩画)

2009-03-31 07:18:29 | 墨彩画
厳しさを時には鳥はひたすらに
強き風避け木陰に堪ふる       樋田哲仙

 自然界を生きる野生の生物には厳しいものがある。あるときは餌の確保、天敵からの護身、さらに気候の脅威と戦わねばならない。自身の知恵を最大限活用し、磨いて生きているのだろう。前日まで穏やかな天気が急変して、鳥たちには空を飛ぶことも出来ないとき、木陰に身を避けて、ひたすら堪えるしかない。  にほんブログ村 美術ブログへ

しだれつつ 湘子(書)

2009-03-30 07:50:46 | 
しだれつつこの世の花と咲きにけり      藤田湘子

 銘木の中にシダレザクラが多い。百年以上を越える古木となると、高さもあって、枝を長くたらし、時には地上に触れんばかりとなる。先日訪ねた又兵衛桜も樹齢300年の古木で一本だけでも多くの人をひきつける。長く垂れた枝に柔軟と優雅さを備え、気品が生まれる。ソメイヨシよりほんの少し遅く咲く。

吉野葛の精製作業場(写真)

2009-03-29 07:31:55 | 写真
吉野葛精製するを見によれば
NHKの取材のありぬ

 くず粉といえば吉野に産する吉野葛に名がある。くずを叩いて水に浸し、汁を絞って晒した粉。純白ででんぷん質に富み、食用や、和菓子の素材とする。吉野の土産店でよく見かける。宇陀市・森野旧薬園では昔ながらの精製方で製造している。立ち寄ると、たまたまNHKの取材班が来ていた。

シマリス(水墨画)

2009-03-28 06:35:33 | 水墨画
芽吹く日を長く待ちきし縞栗鼠は
貯食もつきていかに生くらん        樋田哲仙

 山歩きが好きで、よく出かけたものだが、最近足の不調で自重している。大阪では野生のリスは見たことがない。和歌山城内の森で数匹のリスを見たのは飼育から逃げ出したもの。シマリスは北海道とも聞く。地上の生活が主だが、木登りも巧みらし。秋に落ちた木の実の貯食も今ごろは尽いてどうして生きているのだろう。  にほんブログ村 美術ブログへ

春草は 草田男(書)

2009-03-27 06:46:56 | 
春草は足のみじかき犬に萌ゆ       中村草田男

 草木が一気に萌え始めるのは、桜の落花のころからで少し先のことになる。草にも早春からゆっくりと燃えていつの間にか緑の草となる種は木々の下草に多い。草取りに難儀なものである。この句の草は勢いよく伸び、2,3日で一変するもので、愛玩用の犬の散歩に伸びているかのように映ったのだろう。

宇陀市森野旧薬園(写真)

2009-03-26 06:48:22 | 写真
草木が人を救ひて脈脈と
今をも生くる宇陀の薬園        樋田哲仙

 薬園の創設は享保14年森野賽郭翁が薬草木を愛好し、研究を重ねて自宅の裏山に栽培したのが始まり。明治の廃藩置県と洋薬の輸入で全国各地にあった薬園は姿を消す中、森野旧薬園は引き継がれて250種が今も残っている。昭和4年植物学者でもあった昭和天皇が来園されて光栄に浴している。

春日大社へ向う通り(水墨画)

2009-03-25 08:32:49 | 水墨画
猿沢の池をめぐりて松越しに
五重塔は凛として建つ       樋田哲仙
 
 先日社会福祉協議会から大和高田へ研修に出かけた。午後からは奈良警察本部の通信指令部を見学。各地からの110番通報を受けて、即座に各署とパトカーへ連絡して現場へ急行させる指令の中枢である。その後時間のゆるすかぎり商店街や奈良公園を散策した。猿沢の池を一巡りして春日大社へ向かう道路から興福寺五重塔を眺める。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

かたまって 草田男(書)

2009-03-24 07:09:27 | 
かたまって薄き光にすみれかな         中村草田男

 スミレは野山に自生する春の代表的な草花で、子供からも親しまれている。背丈も10㌢前後でほとんどが濃紫色の可愛らしい花を一株で多数つける。根は太く多年草。最近は改良種の三色スミレ(パンジー)が花壇を彩り目立つ。この句の時代はパンジーとは思えない。野生の群生にやわらかい日が当たって、花が春を楽しんでいたのであろう。

桜井の椿山(写真)

2009-03-23 07:46:47 | 写真
椿山一めぐりせど昨年の
気候に花は寂しかりけり       樋田哲仙

 奈良・桜井市海石榴(つばいち)に椿山があるの聞いて出かけた。個人所有の山に長年かけて作り上げた椿山であるが、今年の花は少なく昨年の気候が大きく影響しているとのこと。写真目当ての訪問には無理だった。主人によると椿は3000種あるが、この山に1000種あるという。

浮き立つ春に(水墨画)

2009-03-22 06:57:48 | 水墨画
やうやくに心浮き立つ日の来れり
野山かすみて蝶の舞ふころ       樋田哲仙

 冬篭りをしていた虫たちが地上に這い出す啓蟄(今年は3月5日)を過ぎて2週間、各地の桜の開花がニュースで伝えられる。きのうは東京、和歌山が開花した。桜前線が一気に北上するだろう。虫の顔はまだ見かけないが畑ではチョウが舞うのを見た。老いの身には春は心底待ち遠しい。ブログ今日で1400回  にほんブログ村 美術ブログへ

うらうらと 立子(書)

2009-03-21 06:42:03 | 
うらうらと今日美しき虚子忌かな       星野立子

 虚子忌は4月8日で、生前ツバキを愛したことから椿寿忌とも呼ばれる。鎌倉の邸宅には多数のツバキを植えて楽しんだ。虚子忌は花まつりであり、桜も終わりに近く一部に葉桜となるころである。春の陽光が輝くと景色は美しく見える。そんな虚子忌だったのである。立子は虚子の次女、結婚後俳句を始めている。

尼樫の発掘作業(写真)

2009-03-20 06:42:34 | 写真
ほぼここと発掘続く甘樫の
麓に果つる蘇我氏の館         樋田哲仙

 蘇我氏は飛鳥時代の有力豪族で、祖は竹内宿禰といわれ、大和の国高市蘇我を本拠としたが、明日香に勢力を伸ばした。皇極帝のとき国政を掌握したが、中大兄皇子と中臣鎌足に入鹿が暗殺されて蘇我氏は滅びた。世にいう大化の改新である。曽我氏の館と思しき地が甘樫南麓にあり現在も発掘が続く。

ボタン一輪

2009-03-19 06:56:50 | 水墨画
桜、藤、牡丹と順に咲きゆけば
耐えし寒さも解き放れけり       樋田哲仙

 3回目の桜の開花予想が出された。例年よりも1週間ほど早いという。開花宣言が各地から届き始めたニュースが流れ出した。きょう当たりは一気に増えるだろう。いよいよ春本番を迎える。桜は開花して1週間で満開となりトータルで10日は楽しめる。次は藤が咲いて、牡丹と順々に咲く。寒さと決別し、戸外への外出で忙しくなる。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

包丁の 立子(書)

2009-03-18 06:55:07 | 
包丁のきれ味ためす春大根       星野立子

 大根は世界各地に分布し、野菜の中の王様の感がある。改良も進んで分化し種類も多い。大方白色。櫻島大根、守口大根、聖護院大根など個性派もある。家庭菜園で大根を栽培しているが、土地が浅いので矮(わい)性にしている。3月になるととうが立って白い小花をつける。大根ほどきれ味を感じるものは少ない。

かぎろいの丘(写真)

2009-03-17 05:52:58 | 写真
人麻呂が狩に詠みたるかぎろひの
丘より望む阿騎野のかなた       樋田哲仙

 「ひむがしの野にかぎろひの立つみえてかへりみすれば月かたぶきぬ」は万葉集巻1に収められた宮廷歌人柿本人麻呂の歌である。奈良・宇陀市大宇陀区へ軽皇子(後の文武天皇)の狩に随行して初冬の早暁に丘に立ってかぎろいを見て詠んだ。極寒の快晴の朝、東方高見山辺りに年1・2度しか見られない気象現象。