哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

古今集第二十三番春のきる(書)

2010-04-30 06:21:21 | 
春のきる霞の衣ぬきをうすみ
山風にこそ乱るべらなれ         在原行平朝臣

 春の着るお召し物は霞だが、その織物の横糸が弱いので、思いやりのない風が乱そうとしている。霞がかかるのを衣に見立てて風が衣装を乱そうというから、自然現象の霞を擬人化して艶っぽく連想した歌である。ここで衣を着るのは女性である。

満開のフジ (写真)

2010-04-29 06:12:11 | 写真
満開の花に群がるくまばちに
近寄りがたき藤の棚下        樋田哲仙

 当麻寺中之坊へボタンの花を見に出かけた。当麻寺は塔頭が多く、外へは訪ねているが、中之坊は初めてである。本堂の三方を庭園が囲み、最初は心寺池に石組みの和風だが、後半はボタンが主に植えられている。その中に白のフジが満開になり、クマバチやスズメバチが群がり羽音を激しく立てている。とても棚下までは近寄れなかった。

山深く入る(水墨画)

2010-04-28 06:09:33 | 水墨画
いかんとも作品展に間に合はぬ
失敗作を飾り付けたり        樋田哲仙

 この24と25の2日間、公民館で水墨画の仲間たちと作品展を開催した。好天に会ぐまれ、来場者も約250人とまずまずといったとこだ。作品展の話が持ち上がって1年余裕は十分あるかすだが、描く気にはならない。1人7点以上と数も多い。期日が迫ってやっとエンジンがかかったものの、満足にはいかず時間切れで出品せざるをえなっかた。人間はそういうものらしい。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十二番春日野の(書)

2010-04-27 06:04:48 | 
春日野の若菜つみにや白妙の
袖ふりはへて人のゆくらむ       紀貫之

 春日野の若菜を摘みに行くのだろうか。若い女性たちが白い衣装の袖を振って、遠いところをいとわず出かけていく。白妙は「衣」「袖」「たもと」「紐」「葦」「雲」「雪」などにかかる枕詞として使用される。

朝護孫子寺本堂(写真)

2010-04-26 06:06:12 | 写真
命蓮の奇蹟を綴る国宝の
信貴山縁起絵巻は三巻       樋田哲仙

 朝護孫子寺を中興した修行僧命蓮(みょうれん)にまつわる奇蹟を3巻に描いた絵巻は平安時代末期に完成。動きに富む展開と貴賎の人物の表情姿態を優れた画家の筆力で描写され、数少ない日本の絵巻物で国宝に指定されている。実物は奈良国立博物館に寄託され、複製品が霊宝館に展示されている。きょうでブログ1800回。

鎮守の森(水墨画)

2010-04-25 06:32:18 | 水墨画
花終へど行きつ戻りつなかなかに
鎮守の森も春を待ちをり        樋田哲仙

 桜の花も散ってしまって葉桜となった。確実に季節の推移は進んでいるが、まだまだ寒い。バイクで10分足らずのところへ手袋なしで朝走ると、手が冷たく手厳しい。最低気温が8度というから当然といえよう。だが、木々の枝を見ると若芽の緑が柔らかく美しくなりつつある。ボタンの開花や、フジ祭りの話も聞かれるようになった。確かに春は来ているのだが。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十一番君がため(書)

2010-04-24 06:22:39 | 
君がため春の野にいでて若菜つむ
わが衣手に雪は降りつつ         光孝天皇

 あなたに差し上げようと思って、春の野に出て若菜を摘んでいると、袖には雪が降りかかります。その寒さに耐えて摘みましたので、どうかそのおつもりで召し上がってください。この歌は百人一首第十五番となっているので、すでに一度紹介した。古今集には24種が百人一首に採用されているので、このようなことは、また起きる。

信貴山千手院護摩供養(写真)

2010-04-23 06:27:26 | 写真
信貴山の千手院にて前庭の
護摩の煙は行者の祈り         樋田哲仙

 信貴山朝護孫子寺は聖徳太子が毘沙門連王の加護により戦勝し、尊像を自ら刻んで祀る古寺で伽藍を有する一大信仰の山である。訪ねた4月半ば、塔頭の一つ千手院では山伏の吹くほら貝の音が山内を包み、護摩供養が行われていた。多数の信者が取り囲み祝詞を上げる山伏の気合の掛け声に日々の安寧を授けられていた。

長野県南牧村高原(水墨画)

2010-04-22 06:16:07 | 水墨画
なによりも変化の富める高原は
海より勝る空気の美味さ       樋田哲仙

 海までは徒歩5,6分、海水浴場までなら15分もかからないところに住んでいるので身近に海を見ている。が、高原は珍しさもあり、開けた畑や草原、樹木、山々が見えて新鮮さがあり、何よりも空気が美味い。四季の推移に周辺は色を変えて楽しめる。海ではそうは行かない。一時期高原にあこがれ、住むのも悪くはないと思ったこともある。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十番梓弓(書)

2010-04-21 05:55:27 | 
梓弓おしてはるさめ今日降りぬ
明日さへ降らば若菜つみてむ        詠み人知らず

 梓弓はおし曲げて弦を張るが、今日はおしなべて春雨が降った。さらに明日も降ることがあれば早くも若菜が摘めることだろう。梓弓は梓の木で作った弓で、「張る」「春」「引く」の枕詞になる。春は雨ごとに草が萌え出して、わらびなどがそうである。

朝護孫子寺張子の虎(写真)

2010-04-20 05:55:45 | 写真
登るほど祈りの山の開け来て
虎のゆかりの朝護孫子寺        樋田哲仙

 大阪奈良府県境にある信貴山(437)は古くから信仰の山である。頂上に近い山肌に広く開けた朝護孫子寺は朝敵物部守屋を討伐せんと聖徳太子がこの山に来て戦勝祈願するや、はるかに毘沙門天王が出現し必勝の秘法を授けられたという。その日が奇しくも寅年、寅日、寅の刻であったことから寺は虎を大切なゆかりとしている。今年は寅年、参拝客が多い。

帆掛け舟(水墨画)

2010-04-19 06:02:51 | 水墨画
春の陽の巨き湖面にゆるやかな
ヨットを見やる海津大崎        樋田哲仙

 滋賀県の人は琵琶湖のことを海と呼ぶ。面積70・5平方㌔㍍、最大深度104㍍の日本一の湖で人々は親しみを込めて言うのだろう。風光明美の地も多く特色を持つ。昨年桜の満開のとき琵琶湖北部の海津大崎を訪ねた。光の湖面にヨットが静かに浮かんでいるの見かけた。今どき、珍しくさすがに琵琶湖と感嘆して眺めた。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

古今集第十九番み山には(書)

2010-04-18 06:24:37 | 
み山には松の雪だに消えなく
都は野辺の若菜つみけり        詠み人知らず

 私が住んでいる山中では松に降り積もった雪さえも、まだ消えないというのに、都ではもう野辺に萌え出した若菜を摘む季節が来たことだ。この歌は分かりやすい。松の雪さえというのだから地上の雪は深く、寒さを強調し、都に来ている春と対比している。

菟田野の水分桜(写真)

2010-04-17 05:58:04 | 写真
移ろひて名所も今は葉桜に
静もる春の戻りゐるらん        樋田哲仙

 宇陀市菟田野の水分(みくまり)桜は名所である。訪ねたのは3月10日の満開で、芳野川堤防沿いに500㍍の片側が見ごろとなっていた。この名の由来は近くに鎌倉時代創建の水分神社にありそうだ。真ん中辺りで立って端を見ると、川が曲線を描いて見えなくなるほど長い。関西の地方にも見事な桜の名所はあるものだ。8日も経れば現在は葉桜に姿を変えて、静けさを取り戻しているだろう。

波静かな浜辺(水墨画)

2010-04-16 06:18:47 | 水墨画
明日より北風吹くと予報には
今日の浜辺の遠くまで見ゆ        樋田哲仙

 今年は異常気象と言い出した。3月ごろ一旦春らしく暖かな日が続いたが、桜が開花する時期には寒さが戻って長い満開となった。かと思うと数日前に20度を越え春となったが、また寒い。北日本では嵐並みの風も吹いて被害まで出た。海まで徒歩5分、穏やかな日は波が治まり海面が陽光に反射してまぶしく、遠くまで見える。  にほんブログ村 美術ブログへ