キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

無国籍(2005年)陳 天璽著

2020年01月09日 | ☆読書
今読んでいる本。
横浜中華街で生まれ育った女性が書いた本です。
日華断交で無国籍を選択した家族の歴史。

横浜中華街を日常的に歩くようになって興味を持っているのと、さらには、この本の中国語版を私の台湾の友人が翻訳したという縁もあり、読んでいます。

日中国交回復により、「台湾籍」が認められなくなった結果、「無国籍」という身分を選んだ人たちがいた。そんな家庭に生まれ、横浜中華街で育った著者は、ある日、台湾への入国も日本への帰国もできず、空港から出られない衝撃的な経験をする。国籍とは? 民族とは? アイデンティティの基盤とは何か? 国家と家族の歴史に向き合い、深く掘り下げた体験的ノンフィクション。 

感想はまた。

2020.1.10読了
通勤電車の中で読み進め、昼休みも読んで二日で読み終わった。
いい本でした。
知らないことがたくさんたくさん。

著者が小学1年のころ、学校の図書館にあった中国語で書かれた日中戦争の資料集で見た写真に衝撃を受け、自分が生まれた日本と父母の国の間にこんなひどいことが起こって、それでも日本に住んでいることが受け入れられず、泣きじゃくって「どうして私たちは日本に住んでいるの?」と父親に尋ねる場面がある。そのときの父親の言葉が素晴らしい。
「私たちは歴史を乗り越えるためにここにいるのだよ」と幼い娘に語るのだ。

このお父さんに会いたい。



実は、このお父さんにはすでにお会いしている。
あいさつ程度だが。
この著者の家は横浜中華街の中華料理店だ。
そして私ももうすでに何度となくご飯を食べに行っている。
この本にも出てくるように、週末など夜遅めの時間になると、奥の円卓で家族の食事が始まる。初めのころは「この店は営業しているんだろうか?」と思ったほど。

この夏、横浜中華街のそばに引っ越したと知った私の台湾の友人が
「YOKOさん、華都飯店にはいきましたか?」
と聞いてきた。まだだと答えると
「ぜひ行ってください。お父さんお元気かな?陳先生のおうちなんですよ。陳先生は筑波ですよ。YOKOさん知り合いじゃないですか?」
などと言ってきて、こちらはちんぷんかんぷんだった。

詳しく話を聞くと、彼女の言う「陳先生」はこのレストランの娘さんで、早稲田の先生らしい。そして、「陳先生」の本の翻訳(日本語→中国語)をその友人が担当して出版したという関係があったのだそう。

そんなこともあり、家からも近いし、行ってみたら美味しいし、観光客ずれのしている横浜中華街で「昔ながら」の雰囲気を保ってるような(昔の中華街を知らないけど)この店に通うようになった。

なので、本を読みながら、ご家族の顔も浮かんでいた。
また、著者は筑波大学出身で、その点も私と共通点があり(バックグラウンドは全く違うし、私はあんなにまじめな学生じゃなかったけど)大学時代の話なども親近感を持って読んだ。

国籍のない人たちがこんな身近にいたとは。
台湾にかかわるようになって20数年、いろいろな人の話を見聞きしていたけど、自分の身近なところにいる人たちの話は知らずにきていたなぁ。
また、日華断交の時代からすすんんで、今はまた違う形の無国籍者がいる。
日本にも世界にも。




今度お店に行ったら、本の感想も伝えたい。
それと、お父さんにきちんとご挨拶したい。
著者ご本人にもいつかお会いして、話をしたい。

YOKOの好きなもの羅列

(順不同)地図、河岸段丘、保存樹木、宮本常一、縄文時代と日本の古代、文明開化と江戸時代、地方語、水曜どうでしょう、シャーロック・ホームズ、SHERLOCK(BBC)、陳昇、John Mellencamp、Kate Bush、イ・スンファン、カンサネ、1997年以前の香港映画、B級コメディー映画、SNL、The Blues Brothers、台湾、旅行の計画、イタリア、エステ、宮部みゆき、ショスタコーヴィチの交響曲5番、森川久美、のだめカンタービレ、くまモン
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