───── 話は続く。
「小学校の高学年頃かな、それまで全然対等で負けたことのなかった同じ年の男の子に、背の高さを追い越されたり、腕力でかなわなくなったりし始めて悔しかったんだよね…」
「『男』とか『女』とかで区別が始まってきたよね」
「そういえば、私、そのころスカートを一切はかなくなった時期があった。男の子みたいなカッコで学校に行ってた。」
「私は、小学校5年くらいから、いとこのお下がりの黒いランドセルで通学し始めた。」
「あの時代に女の子が黒いランドセルってかなり珍しかったんじゃ?」
「うん、クラスの子は何も言ってこなかったけど、違うクラスや違う学年の人たちにはいろいろ言われていじめられたなぁ。でも気にせず小学校卒業までそれで通した。」
───── 「傷」の正体がだんだん姿を現し始める。
「ねぇ、お赤飯炊いてもらった?」
「初めてブラジャーつけた時どんな状況だった?」
「小学校の時、女の子だけが集められて、女性用の性教育の時間があったよね。」
「うん、あれすごい嫌悪感があった」
話がどんどん進んでいく。
だんだん分かり始めた。
自分の中の「女性」の部分が成長してくるのがとても受け入れられなかったんだ。
そこにいるみんなが同じような思いをしていたみたい。
そんな時期に、大ブームだった「ベルばら」があった。
そしてそこに、女性性と男性性をわかりやすく持っているオスカルが登場してくる。
それで揺さぶられていくわけね。
これが「傷」のすべてとは言えないけど、何となくつかみ始めた。
ひとりは、女性性とか男性性から自由になるために、女子高女子大への道を歩み。ひとりは受け入れておとなになる道を選び、わたしはそこから目をそらした結果ベルばらが恥ずかしくなった…というわけかな?フタをして見ないようにしていたから正体がわからずにもやもやしていたのかな。ここに至って気がつけてよかった。
そこから話は「男女雇用機会均等法」だの「夫婦別姓」だのまで発展していった。
女同士おしゃべりは際限ない。
ワインも何杯飲んだことか。
気がつけば閉店時間になっていた。
帰り道、誰かが言った。
この時代、仕事して一人前に稼いでる女性はみんなこうだよ。
地方から出てきて東京にとどまってるっていうのもね。
どっかこじらせて(=戦って)るもんなんだよね。
ベルばらの話で、こんな展開になるとは思ってもみないことだった。
気の合うご近所さんたちだと思ってたけど、実は戦友に近いのかもしれないな、と思った。
何にしても愉快この上ない「女子会」だった。
次は新年会で「ベルばら」カルタです!
男性陣は「修造カルタ」を持ってくるらしい。
楽しみです。