おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

潔さ

2009-02-10 | ■ 業 務 エ ッ セ イ

クライアントさんからの質問もあり
労働関係のことも 確かめながらの応答をすることが
あるのです(職域区分には充分の配慮をしつつ)

個別労働関係紛争解決促進法(2001年制定
同年10月施行)
労働審判法(2004年制定 2006年4月開始)

前者は 労働行政の分野で
後者は 司法の場で
個別労働関係紛争の公的な解決制度として整えられ
それなりの効果は出ている様子

そうして 2008年3月1日から施行の
労働契約法が 登場

概して言えば 契約形態が より細かく複雑になり
協約部分を中心にした問題ではなく
直接個々の労働者と使用者との個別的な権利義務紛争が
増加したこと
労働組織の変化(多様化によって 共同体の性格が
ますます薄れていくことや 組合の組織率の低下)で
個別労働契約の意義が大きくなったこと
などが背景かと思われます

ある試験の科目に労働法と社会政策があったこともあり
労働法は個人的に関心の強い分野でした
そのとき感じたのは 判例法理の重要さでした

でも こうまで個別の労働紛争が増えては
実体法規で 基準の明確化を図る必要があったのでしょう

それにしても 小ぶりな法規

でも これからの運用次第で大ぶりになることを祈っています


さて 以上述べたことは 次のことを記したいがための序論

学習の過程で ある労働契約法に関する本を手に入れ 
はしがき から
読み始めました(隅から隅まで読まないと気がすまない)

・・・・分担執筆した草稿についても、何回にもわたって
共同の議論を積み重ね、修正し調整して、共同の文章
としている。したがって、本書で書かれた労働契約法の
評価
解釈
立法課題に関する
見解
は、私たちの
共通の意見
である。・・・・


いままで そうとうな数の専門書を眺めてきましたが
これほど 率直に潔く 見解の共同責任を表白したと
とれるものは
見たことが無い気がします
労働法は特に
学者の人生観・イデオロギーなどがとても反映し
論争の多い分野
だと 私は感じていましたが
そうであるからこそ これほどまでにハッキリと記してある
のを
驚きの思いで見ました
おおげさでしょうが 他の二人の方と
学説上の心中を宣言しているようなもの
三人とも一流の 独立した 大学者さんです(失礼をお許し
ください)

学者は よい意味のプライドがあって当然
名誉感にこだわりのなさすぎる学者は嫌いです
自己の 学業の根本がアッサリと揺らぐような説
そのような説は プライドがなさすぎ 読み手に対する
一種の無責任だと思います



・・・先生の説からだと 当然こういう論文や判決になるはず
・・・なのに なぜ こうなるんだろう・・・
(もっとも 自分の能力のせいで 誤解の場合も
大いにあり得ますが・・・それにしても理解困難のときも)

それゆえ こういう宣言文章は とても珍しかった
なかなか 言い切れないことだと思います
よほどの相互信頼と覚悟が必要だからです
流れ変化するかもしれない学説・信条に係わることだか
らです
学者としてのプライドに係わる・・・


それにひきかえ
ある一国の首長が 

実は あの時は反対意見だった

ナンゾと のたまっておられます

共同責任宣言からの逃避

内閣の一体性と統一性
閣議での議事は全会一致(高度の秘密の要請)

意見が異なるのであれば 政治家としてそれを貫き
内閣からの自らの離脱を行うべき

政党内でも 高い責任地位にある者なら同様です

この首長は その辺のことさえ 理解してなかったか
いまも理解してないのでしょうか 
道義的なことを言っているのではなく
法的なことを言っているのです

限界です 

もっとも こういう方を支持なさっていた周辺の方の責任も
重大だと考えられます