昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(206)芸術(7)

2011-06-27 05:21:04 | なるほどと思う日々
先日の<NHK・日曜美術館>で、娘を交通事故で亡くしたご両親からの依頼で、亡き娘の肖像画に取り組む<諏訪敦>を取り上げていた。
 初めて耳にする名前の画家だ。
 番組の解説によれば、結婚も決まり結納を済ませて10日後、海外旅行で交通事故に遭い、亡くなった娘さんを蘇らせてほしいというご両親の依頼に応えるため、諏訪はわずかな手がかりから、さまざまな取材、手法を駆使し、彼女の特徴を探っていく。
 そして、単なる写実的な表現ではなく、ご両親の生前快活だった娘さんに対する思いをいかに表現するかに苦慮する画家の姿を追っていく。

 彼は、独自の写実表現で注目される新進気鋭の画家だ。特に、舞踏家大野一雄を1年にわたり取材連作したものに彼の特質が表れている。徹底した取材を重ねて対象となる人物と向き合い、人間の内面に迫ろうとする
 

 
 昔スペインで見たディエゴ・ベラスケスの<女官たち>を思い出した。
 依頼主の思いをいかに表現するか、単なる写実主義でない現代の<宮廷画家>を諏訪に擬えてみた。 
 特にその繊細なタッチで放たれる光り輝く手法は彼独自のものだ。

 人物像ばかりでなく、<NIRVAN(涅槃)>と題された東京タワーの倒壊を描いたものにも心をうたれるものがある。特にこの絵は現物で見てはじめて真に訴えるものがあるのかもしれない。
 


 7月16日まで千代田区の成山画廊で彼の絵が展示されているそうだ。
 現物でぜひ見てみたい。