昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(77)文明の進化路線に逆らえるか(13)

2011-06-19 05:53:08 | エッセイ
「<釜石の奇跡>、<みのもんたの朝の番組で紹介された保育所>いずれの3原則の中でも、一番大切なのは、緊急時にはあまり他人のことを考えず、早く逃げることが大切ということになります」と医師は述べている。
 そして続ける。
「これは動物の本能で、あまり難しく考えることはないでしょう。皮肉にも人間は教育によって他人への思いやりが優先するようになり、<生存>という意味からは不利になったようです。他人への思いやりの多くは<本能>とは考えにくいのです」

 ・・・なるほど! 緊急時には人間にも「生きなければ!」という動物の本能が働くのだ。・・・

 そして医師は人類の<文明>そして<生存>へと言及する。
「ふと恐竜時代のことが頭に浮かびました。2億年~3億年といわれる恐竜の時代が続いたことは驚異ともいえますが、人類は文明、文化の発達、とくに科学の発達によって<生存>が有利になり、将来恐竜時代を超えることができるでしょうか。否、恐竜とおなじように長期に存続することは期待できないと多くの学者は考えています。動物を含めた個々の生物の時代が永く続くためには、本能にまかせ自然淘汰されることがむしろ生き残りには一番大切である、が多くの意見です」

 

・・・となると、人間の本能とは何なのだろう。やはり、他の動物と同じで<力の論理>に従わざるを得ないのだろうか。人間はその叡知によって<自然>をも支配できるとも思われているが。・・・


「しかし、最近分かったことでは、メキシコの火山の爆発が恐竜時代の終焉に大きく関与していたことなど、些細な天災が生物の存在には大きく関与することがあり、これはもう<運>としかいいようがありません」と<自然>をコントロールするなんて不可能ですと医師は結論づけている。もう<運>に任せるしかない、と。
 
 そしてなんと、「最近私の友人、周りの方で亡くなっている方はみんな<がん>で、皮肉にもほとんど健診をこまめに受けている方々です。人それぞれの寿命も<運>が大きく作用して、医療ははたして延命にどれほど貢献しているのかと疑いたくなるこの頃です」なんておっしゃっている。

 ・・・でも、医学の進歩によて確実に人間の寿命は伸びていますよ、先生!・・・

 この大震災、原発事故はその実績をも打ち砕いて、人間に無力さを感じさせ、意気消沈させるものだったのだろうか。・・・

 今、放射能汚染が深刻に受け止められている。一方その何倍もの放射能物質を浴びながらも宇宙開発に人類の延命のための活路を求めて必死にチャレンジしている宇宙学者がいる。
 <原発廃止>論者のように<文明進歩路線>に逆らおうという動きもある。
 

 人類の進むべき道を明快に示す<科学>は現れるのか。
 それともやはり人類も現世を動物的に着実に生き、<運>に身を委ねるしかないのだろうか。