昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(547)歴史の終わり(1)カント

2018-09-09 04:17:37 | なるほどと思う日々
 世界を主導すべき大国アメリカのトランプ大統領は「アメリカ第一」を掲げ、「偉大なアメリカを取り戻す」と、今や世界に貿易戦争をしかけている。
 これからの世界政治はどうなるのだろうか?
 如何なる歴史を刻もうとしているのか?
 
 人類がこれから向かうべき<歴史>について、フランシス・フクヤマ ジョンズ・ホプキンス大学教授の「歴史の終わり」から学んでみよう。
 
 「歴史の終わり」とはどういう意味か?
 ・・・カントは歴史には終点があるはずだと述べている。この終点とは、いわば現在の人間の潜在能力のなかに秘められた最終目標のことで、それは<人間の自由の実現>ということであった。なぜなら、「社会的立法のもとで自由があらがいがたい権力、すなわち公正このうえない市民的機構と不可分に結びついている社会の実現こそ、自然が人類に与えたもっとも難しい課題であるからだ。このような公正な市民的機構を打ち立て、それを世界に広めていくことが、歴史の進歩を理解できるかどうかの尺度となる。・・・
 
 カントはまた、<自由主義>といういっそう合理的な制度へと人類を駆り立てるメカニズムは、<理性>ではなく、むしろそれとは正反対のわがままな<敵意>である。人間の「社会性と非社会性の雑居状態」から生じるわがままな<敵意>のおかげで、人はかえって人間相互の全面的な戦いから手を引き、市民社会が他の社会に負けないようにとの思惑から芸術や科学の振興につとめていくようになる、と述べている。
 

 つまり、<競争心や虚栄心や支配への願望>こそが社会の創造性の源泉であり、「理想郷の牧歌的生活からは生まれなかった人間」の潜在力の実現を保証してくれるものだったと・・・。
 そして、人類の歴史的進化の普遍的な法則を説明できるケプラーやニュートンのような人物の必要性を指摘している。
 
 
 普遍的な歴史に責任を持てる天才こそ人間の営みにおいて何が大切かを理解できる哲学者として認められ、同時にすべての時代と国民の歴史に統一的な意味を与えることのできる歴史家として認められるべきだと・・・。
 そしてこの<普遍的な歴史>という考え方はヘーゲルに引き継がれることになる。

 「わがブログでは、むずかしい話を分かりやすく理解していただくために、色々な方々の絵や写真を利用させていただいております。悪しからず」
  

 
  
       





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