昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(34)映画・明日の記憶(1)

2010-12-14 04:46:08 | エッセイ
 映画<武士の家計簿>を見て身につまされたと書いたが、身に置き換えて胸に深く沁みこむ映画がある。
 大分前になるが、家内に引きづられてどういう内容か知らないまま見に行った招待試写会<明日の記憶>を思い出す。

 開演1時間前、有楽町読売ホールのエレベーターに乗る。開場までまだ30分もある。7階のはずが4階で係員が待ち受けていて降ろされ、そこで階段の列に並ぶ。
 7階からここまですでに並んでいるのだ。
「タダだといっぱい出てくるのよ」家内が言った。
 それでも前から三分の一の真ん中近くに席を占める。

 期待していなかったが、パンフレットを読むうち関心が高まってきた。
 出演者が、渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、水川あさみ、渡辺えり子、香川照之、大滝秀治とそうそうたる芸達者をそろえている。

 いい加減な映画ではないことは確かそうだ。アルツハイマーに侵される主人公というのが暗そうで気が乗らないが・・・。

 冒頭は看護施設での生気のない主人公と、看護する奥さんの姿。
 アメリカ映画<黄昏>のヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘップバーンを思い出す。
 
 ・・・ぼくもこういう歳になったのだ・・・

 シーンは一転。都会の雑踏、喧騒の渦の中、ビジネス戦場最前線で指揮を執り、動き回り、怒鳴りまくる主人公の姿。

 そんな彼がいつの間にか<物忘れ>を発症、トラブルを一つ、また一つと巻き起こしていく。そしてついに奥さんに伴われて病院へ。

 一度目の前に見せられた何個かの物の絵が隠されて当てるテストが繰り返される。
 そんな子どもだましみたいな単純なテストにつまずく主人公。
 それを見ているぼくも同じじゃないかとちょっと不安になる。
 そしてアルツハイマーという診断が下る。

 現在治療する手段はない、改善することも不可能と宣告される。

「この若造の医者め!」
 怒りまくるが不安のどん底に突き落とされる主人公。

 ─続く─
 


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