昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(661)残された課題④

2020-01-12 05:03:09 | エッセイ
 湿った空気とサクサクという音に包まれて境内に足を踏み入れた。
 真ん中にブナ科シイ属の大木が四方に枝を広げている。
 直径1メートルを超える幹、高さは15メートル以上もある。

 ・・・この社を父親から引き継いで20年以上になる。
 私は果たしてこの木のように成長しているのだろうか?・・・
 
 彼は鬱蒼とした木々の濃い緑に包まれる感慨を込めながら歩を進めた。
 いつものように至福のひと時となるはずだった。

 しかし、この時ばかりは何か得体のしれない、今までに経験したことのない、ぞーとするような気配を感じた。
 豊かな自然の香りの中に、何か生の異臭を嗅いだのだ。

 数メートル先のこげ茶色の本殿を背景に、賽銭箱の横から白い人間の肢らしきものが垂れ下がっている。
 ・・・人がいる・・・
 彼の背筋にツーと汗が流れた。
 恐る恐る近づくと、スカートがめくれて剥き出たスマートな白い脚に連なって仰向けになった若い女性の上体が目に飛び込んできた。

 ・・・高校生? あるいは中学生だろうか? セーラー服を着ている。
 まだ幼さが残っているが、かなりカワイイ少女だ。
「お嬢さんどぎゃんしたと? だいじょうぶ?」
 宮司はその柔らかそうな肩に手を触れて声をかけた。
 ピクッとからだが動いて、大きな目が見開いた。
「あっ、スイマセン!」
 若い娘はスカートを整えながらいきなり立ち上がると、爽やかな声を出した。
 少なくとも病人には見えない。
「どうしたのかな?」
 小山内は標準語で優しく語りかけた。
「家出してきちゃった・・・」

 彼女は自然界からの使者だったのです。
 この後、トランプ大統領や、習近平国家主席など、時の話題の主を絡めて奇想天外な展開をします。
 興味深いでしょう? 
「暗黒星雲からやって来た姫」と題する小説を出版したいと思っています。
 ご協力のほどを・・・。
           





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