昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(167)第21回読書ミーティング(2)

2016-11-21 04:28:36 | 三鷹通信
 H氏推薦の本「仮面の日米同盟」の中身はミーティングの中では披露されなかったので、お借りして読んでみた。
 戦後日本を支えてきた日米同盟の内実を突いている。
 
 沖縄の日本返還が解決されて、日米関係は大きく改善したと思われたが、直後関係の実体が赤裸々にされる。      
 佐藤栄作首相の「トラストミー」と言っていた繊維紛争問題が、ニクソン大統領を失望させる事態になり、4か月後には<ニクソンショック>を迎えることになった。
 ニクソンはキッシンジャーに対し、ベトナム戦争膠着が続いた場合の恐怖、ソ連の恐怖と並んで、日本軍国主義の再興への恐怖を基本に協議を進めるよう指示した。
 つまり、日米安保条約は、瓶の中に閉じ込められた”日本軍国主義”が外に吹き出すのを押さえる役割をしているという<瓶のふた論>である。その意味で中国も「日米安保条約」を評価している。
 *トランプ次期大統領は、選挙戦のなかで「日本を守る必要はない。米国がその費用を負担するいわれはない」と言ったが、そう簡単にはいかない現実があるということだ。
 2006年10月18日、当時のライス国務長官が北朝鮮が最初の核実験後に訪日して「米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形(full range)で履行する意思と能力を有している」と述べた。
 これは米国が<核の傘>の提供を保障する時の決まり文句である。
 
 (full rangeを、尖閣諸島有事の場合にも対応すると解することができるのか? 中国の領海侵犯行為を見ていると、中国はそう解してはいないようだ)
 *トランプは、「日本も核を持てば」と言ったが、その言葉通りに運ぶことはあり得ない現実がある。
 ・・・「仮面の日米同盟」は、トランプ大統領出現でどう変わるのだろうか?
 日本にとって悩ましいところである。・・・


 ─続く─