昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(332)トランプ大統領誕生で世界はどこへ向かうのか?

2016-11-13 07:13:09 | エッセイ
 昨日、読書ミーティングのわが推薦本に関し、主宰者のS氏からインタビューを受けた。芸文センター地下のカムラッドに早めに到着したボクは推薦本小林秀雄の「モオツアルト・無常という事」を読み返していた。
「今、外人とトランプのことを話していましてね・・・」いきなり、推薦本でなく時の話題について彼はしゃべりだした。
「実はこの一週間アメリカに行ってたんですよ」ということで、「無常という事」はそっちのけにして、時の人、暴言王トランプ次期アメリカ大統領に関する話で盛り上がった。
 
 トランプ誕生に至った時代背景を整理してみると、市場のグローバル化によってアメリカ帝国は打ち負かされ、金融面、政治面で疲弊し、世界統治は諦めざるを得ない状況にあった。
 つまり、国境をもたない市場は、民主主義に打ち勝ち、国家は弱体化している。
 ジャック・アタリ的言い方をすれば、今やノマドとして資産を保有するもの、金融業や企業の戦略家、保険会社や娯楽産業の経営者、発明家などが<超ノマド>として世界を支配している。
 富とメディアの支配者である彼らは、自分自身に対してしか忠実でない。
 こういう現状に不満、閉塞感を抱く名もない人たちにより、トランプという異端児が大統領に祭り上げられた。
 彼は基本的には<適者生存>という我欲に基く世界観をもち、オバマ大統領のような格調高い理念なんぞは掲げない。
 中国の習近平や、ロシアのプーチンと同様、<力>を信奉する政治を行う。
 恐らく、我欲を競い合って、従来通り政治はまた混迷に陥るであろう。
 問題は、その後にジャック・アタリが期待するようなリーダーが出現するかである。
  つまり、地球規模の問題に対し鋭い意識を持ち、自らの財産を人道的活動に投じる<利他主義>的地球規模の民主主義者が現れるかである。