昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(166)第21回読書ミーティング(1)

2016-11-20 05:36:56 | 三鷹通信
 <現役編集者が主宰する読書ミーティング>
 主宰者の推薦するベストセラーは江崎道朗「マスコミが報じないトランプ台頭の秘密」
 
 トランプ勝利前に刊行、トランプ勝利の直後、Amazon「日本の政治」ジャンルで一気に1位になったベストセラー。
 ドナルド・トランプは生粋のニューヨーカー。父のフレッドもニューヨーク市の不動産開発業者。トランプはペンシルバニア大学ウォートン・スクール在学中から父の経営する不動産会社「エリザベス・トランプ・アンド・サン」を手伝い、1968年に正式に社員になった。
 1971年には父から同社の経営権を与えられ、社名を現行の「トランプ・オーガナイゼーション」に改めた。
 以来トランプは、ホテル・カジノ・ゴルフコースその他の不動産を建設し、その多くに自らの名前を冠している。
 NBCのリアリティ番組「アプレンティス」への出演はトランプの知名度を高め、3回の結婚歴はタブロイド紙で広く報じられた。

 2015年6月16日、2016年アメリカ合衆国大統領選へ共和党から出馬することを発表。初期キャンペーンは大々的にメディアの注目を浴び、広く一般の支持を集めた。
 以来、共和党の世論調査では継続してトップの支持率を保った。
 メキシコ系の不法移民に関する発言は、外国人嫌悪と取られることから共和党主流派の方針と決定的に相反する指摘も受けており、ワシントン・ポスト、エコノミスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ハフィントン・ポストなどのメディアからは大きな批判を浴びた。(ウィキペディアより抜粋)

 *成り上がり億万長者、ならず者のイメージ
 *女性蔑視
 *米国第一主義、TPP離脱して保護貿易
  (日本へは安保見直し・安全保障費用負担・経済政策の保護主義への変更・核兵器ススメ)
 *移民強制送還、イスラムの排除
  ・・・こういう人がアメリカの大統領になった・・・
 トランプの正しいイメージが、リベラルマスコミ(USAToday、CNN,朝日新聞、毎日新聞、東京新聞)とヒラリー陣営のイメージ操作によって、かなり隠されていた。

 <アメリカの現状>
 *アメリカの白人男性の逆差別の反動
  黒人奴隷の犠牲の上に今の繁栄がある。
  白人主義が差別的な社会を生んだ。→オバマを支持しないのは黒人差別主義者だ!
  男性中心主義が女性を今でも抑圧し続ける。→ヒラリーを支持しないのは女性差別主義だ!
 *中間層の没落
  オバマケアに代表される貧困層のケアは、結局、中間層の増税や負担になった。
  大多数の中小企業の経営者にとって、オバマケアの名のもとに従業員の保険を払うことが大きな負担。
 *自由の名のもとに特定の宗教を重視するのはタブー「クリスマスおめでとう」は学校で言えない。
 *エスタブリッシュメントへの不満
  エスタブリッシュメントはメディアを味方につけたいので移民を受け入れる。  
  (多様性の重視)
  ヒスパニックや他の民族を積極的に受け入れるサンクチュアリシティ。
  (オバマ政権の有力者民主党のシューマー上院議員とルビオ共和党上院議員など)
 *戦争体験、ルーズベルト史観からの脱却論争。(民主党、共和党入り交ざって)
  (ルーズベルト史観とは、日本やドイツの頭を押さえ続けるために、東京裁判、ニュールンベルク裁判をベースとする戦後レジーム維持。例えば、南京虐殺、従軍慰安婦問題などを引きづり続ける)
 
  <トランプ候補の主張>
 *アメリカを偉大な国へ。伝統的価値観。豊かな中間層が幸せな家庭を築きアメリカンドリームを実現する。
 *アメリカファースト主義への回帰。どこにも与せず、アメリカの繁栄の下世界に自由と繁栄の秩序を主導する。
 *犯罪者不法移民の強制送還。手続きを行う合法移民は保護。
  不法移民の安い賃金に共和党の支持基盤、酪農、農園は依存している。
      
  <選挙は、結果的にトランプの勝利>
 *メディアの受けのすごいオバマ・ヒラリー人気を、庶民の本音が上回った。
 *下品と率直は紙一重。メディアは連日ヒラリーの優勢を報じたが、実際にはトランプ支持を表明しないまま、票を投じた人が多かった。

  <世の中が知らなかったトランプのこと、アメリカのこと>
  主宰者もう一冊の推薦本は「トランプ自伝」
  
 大統領以前の、不動産王として名を馳せたアメリカ立志伝中の人物として、インタビューをもとにした語り下ろし自伝。初の著書でありながら、全米ミリオンセラーになった。
 <健全なアメリカ人>
 移民のルーツ(祖父、スエーデンから移民してレストラン経営)を持ち、父親が頑張って財を成す。(安くて済みやすい家をニューヨーク郊外に建て、中堅不動産としてまずまずの成功)自分は父の事業を拡大し、マンハッタンに全米を代表するようなビルを建て立志伝中の人物になる。

 *公私ともに、人間関係、愛と友情を重視する非常に努力する勤勉家。
 *メディア出演経験豊富でマスコミをよく知る。
 <トランプの手品>(ビジネスの信条)
 *大きく考える。(控えめではなく)
 *最悪を予想し、最高を手に入れる。(慎重極まりない)
 *選択の余地を多くする。(問題解決の手は多いほどリスクを少なくできる)
 *市場を知る。(コンサルティングやマーケットを信じないで、カンを働かせる)
 *レバレッジ(てこ)の原理。(この取引は得になると相手に思わせる。エビでタイを釣る)
 *リッチの価値を高める。(低い不動産を買って、高く売る。そのためには立地が全て)
 *自分を宣伝する。(マスコミに正直に話す。自己弁護はしない。事実誇張は必要)
 *断固戦う。(状況が不利でもとkとん闘う)
 *言葉だけでなく実行する。(信用を得るための一番大切な秘訣)
 *コストを抑える。(必要なら惜しげなく金を使うが、不必要と判断したら1セントも出さ  ない)
 *楽しむ。(金や名誉は持っている。闘いそのものを楽しむ。

  ・・・スゴイ大統領になるかもしれない・・・

 一方、ボクの懸念。ある意味オバマと対極にある人物だ。家族、国民のために価値ある人物であることは間違いないが、人類にとって価値ある人物足り得るか。
 彼の本質は<適者生存>の考え方である。
 中国の習近平やプーチンと同じく<力>こそすべてと考えるタイプだ。
 競い合うだけでは行きつくところに早く到達するだけだ。
 つまり人類の滅亡を早めるだけだと思うが・・・。

 
 さて、理想論はともかく、トランプ大統領になって日本の対応すべき道はどうだろう。
 安倍首相が他の国の首脳に先駆けて、トランプとの会談を行い、彼の変化を期待する向きもあるようだが、現実は三大強国に挟まれて日本の選択すべき道は悩ましい・・・。
 参加者のH氏から参考にと、春名幹男「仮面の日米同盟」が推薦された。
 
 少なくとも、トランプになってアメリカの対日政策は従来と変わる可能性がある。
 日本は如何なる道を模索すべきか?

 ─続く─