昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(54)貿易会社(12)

2013-11-30 05:09:07 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
「課長、スイマセン」
 佐賀はカマキリ頭を上下しながらボクの隣へ移ってきた。
「いやね、麻雀は仕事にかかせない武器なんだよ!」
 
 彼は腰を左右にふりながらスツールに細いからだを納めた。
「1課のお客さんで、M造船、修繕課の落合係長がウチの会社に来てね、麻雀をやろうって言いだしたんだ。山川課長がキミいいよね?っていうんでぼくはOKしたんだが、営業がほとんど出払っていてもうひとりがいないんだ。浅井はいたんだけれど彼が麻雀をやるのは見たことがなかったので、課長は彼をスルーして落合さんにひとり足りませんねって言ったんだ」
 佐賀は口に入れたボルシチのじゃがいもが飛び出しそうになって口ごもった。
 

「そしたらね、落合さんが浅井にキミやらないの?って声をかけたんだ」 
 しばらく口をはふはふさせてジャガイモを処理すると続けた。
「浅井は家庭麻雀しかやったことがないんで・・・と、まあ、消極的にお断りしたんだ。ところがだよ! 落合さんはたちまち食いついたんだ。やれるんだ! じゃあやろうよってわけだ」
「結局、浅井さんをいれてやったんですね?」
 ボクは口に運ぼうとしていたスプーンを降ろして聞いた。
「そうなんだよ! やったよ! 山川課長が浅井のデビュー戦だなんて言ってな」
 佐賀の目が光った。
「だけどたいへんだったんだよ!」

 ─続く─

 「医者に殺されない47の心得」
 
 近藤誠先生の刺激的なタイトルの本がバカ売れだそうだ。
  未熟な医療のせいで運の悪い人生を背負った男が主人公の「運が悪いことから全てが始まった」なんて小説を書き出したぼくは近藤先生の主張に共感するところがある。
 雑誌などで、おっしゃることはあらかた知っているので、買うまではないと図書館で借りることにしたが、予約している人がなんと300人以上もいる。
 代わりに先生の著書「成人病の真実」を借りてきた。

 興味深かったのは<高血圧症の3700万人のからくり>だ。

 「高血圧の基準は、従来160/90mmHg以上だったのが、新しい基準140/90mmhgに日本高血圧学会のエライ先生が引き下げたのです。
 その結果新しい高血圧患者が2100万人増えて合計3700万人になったのです。
 30歳以上の4割、60歳以上では6割の人たちが高血圧患者となり、降圧薬を一生飲み続けることになったのです。
 基準値の引き下げを可とするデーター的根拠がない。
 
 そのうえ高齢では、血圧が高いほうが長生きでき、血圧を下げると寿命が縮むというデーターさえありました。それなのに基準値が変更されたのは、学会の中枢を占める、権威といわれる人たちに問題があってのことです」

 誰のための医療か? 近藤先生のご指摘は厳しい!