昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(46)貿易会社(4)

2013-11-20 03:53:44 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
「オイ! 司くんか? 専務から聞いたろ? 今日からキミはぼくのところにくることになったから・・・」
 総務部に座っていたら、ボクに続いて専務室に呼ばれていた山川課長が戻ってきて声をかけてきた。
 あわてて立ち上がり課長に続いた。
「なに、ユニュウギョウムはたいした仕事じゃないから、ダイジョウブだよ」
 
 機械第一課の空いている席に座るよう指示しながら言った。

 ボクの不安を見透かすように言ったが、何か言葉のアクセントがおかしい。
 しげしげと顔を見たが顔は明らかに日本人だ。
 総務部にはソ連のブレジネフ書記長のような厳つい顔の老人が書類を書いていたし、
 機械三課のダニチさんといい、風変わりな人種のいる会社だ。
「書類を作成してオヤクショに届けるだけだから・・・」
 不安げなボクを励ますように課長は言葉を重ねた。

「書類の作成ですか?」
 ボクの口調は不安まるだしだったようだ。
「永野さんに聞けばワカルから・・・」
 課長は自分の席の前に座っている若い女性を顎で示して言った。
「よろしく」
 
 書類作りに専念していたその女性は、背中を起し、つりあがった目でちらっとボクを眺めると、何の感情も含まない言葉を吐いた。

 ─続く─
 
 ザックジャパン、FIFAランキング5位ベルギーにアウエーで3対2で勝ち切った。
 
 三点目、柿谷のアシストで岡崎が3点目ゲット。