ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

田舎劇団が性暴力の芝居やるって、

2022-06-29 21:14:29 | 菜の花座
 菜の花座『ダンスホールMitsu』、お客さんの評価はどうだったんだろう?観劇後のアンケートかなり多く書いてもらえたようなんだが、まだ読んでいない。菜の花座では、公演数日後の反省会で全員の前で読み上げることにしている。だから、観客の声が聴けるのは明日、気になるなぁ。
 題材が題材だから、果たして長閑な?田舎の観客に響いたかどうか?田舎が隅から隅まで長閑なんてことはない。凄惨な犯罪も田舎でもばかばか発生してるしな。人口比率から言ったら、かえって都会より高いかもしれない。
 が、菜の花座の観客に限れば、まず、ゆとりの暮らし、心豊かな生活を送っている人が多いんじゃないかな?強姦とか、父親の暴力支配とか、政略結婚とか、どこの世界の話しだい?って感覚だろうぜ。人生悩みは尽きないとしても、『ダンスホールMitsu』で取り上げた題材を身近に持ちつ人は少ないだろうな。
 公演を後日放映用に録画した地元ケーブルテレビのディレクターも困っていたぜ。この内容じゃぁ、放映は無理かもしれません、ってね。明るく前向きな番組作りがモットーなんだそうだ。たとえ、水面下で激情が渦巻いていようと、波風穏やかな水面を伝えていたいってことだろう。まっ、大手メディアだってみな同じ、抗うことは得意じゃない。
 舞台設定を大正時代にしたのも、そんな軋轢もあるんじゃないかって推測が働いたからでもある。所々に笑いを仕掛けてテーマの重さをいなそうとしたのも、観客への思いやりい、いや、阿り?かなぁ。衝撃的な問題を正面切ってぶっつける、なんてやり方は粋じゃないよな、っとも思っている。

 でも、たとえ舞台は大正でも、取り上げた女性への暴力、横暴は、すべて今の現実でもあるんだ。それに気付いてもらいたくて、あえて今風の言い回し、「おま言う案件」とか「イカゲーム」とか「うっせえわ」とか忍ばせてみたんだが、果たしてこちらの意図を汲み取ってくれた人はどれだけいただろうか?
 役者の一人が言っていた。男のお客さんから拒絶感のビームが発せられてたように感じたって。そうだろなぁ、都会だってフェミニズムに対して「逆差別」なんて反発があからさまに聞こえて来るものな。痴漢被害女性に対して、冤罪着せられる男は辛いよね、的な発言だ。お隣の韓国じゃ男のみ徴兵制があることもあって、若い男子の不満が大きくなってきているらしい。

 だから、劇のクライマックス、陰湿で身勝手な伯爵を女たちが寄ってたかって懲らしめるシーンで、客席から「可哀そう!」って声が掛かったのもそんな追い詰められる男への共感の現れだったんだろう。
 いくら女たちが糾弾し、男たちの罪を断罪したとしても、現実は牢固とした男社会、家父長制があたりを睥睨しているってことをそれに続く伯爵吉村の復活宣言で表現したんだ。そこら辺、どこまで通じたろうかねぇ。

 もちろん、その直後に、主人の気まぐれで手打ちにあったさよの幽霊に「謝りませぬ。詫びてはならぬと知りました」と語らせて、女たちの闘争宣言をぶつけておいたのだが、ここもどれだけの人が見抜いてくれたことだろか。

 明日、観客のアンケートを見てみれば、どんな受け止めだったが、あらかたわかるはずだ。その内容を見知った上で、この作品の作者としての自己評価を試みることにしよう。
 

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