ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

代役で育つ

2011-11-10 22:41:20 | アート・文化
 今週も『どんでん森はどっぎどき』の稽古で明け暮れた。
 なんだって、そう、しつこくやるの?もういい加減仕上がってんじゃないの?
 いやいや、仕上がるなんてとんでもない。まだまだ未熟、発展途上、半人前の舞台なんだ。一回でも二回でも公演が有る限りレベルアップしていきたい、それを常々に言い聞かせつつ公演に臨んでいる。そうでもしないと、すぐに惰性に陥ってしまうんだ。人間の怠惰は果てしがない。

 歌を直し、演技に手を入れ、時にはギャグも仕込みつつ更なる進化を目指している。かっこいぃぃぃぃぃ!

 実はそんな大それた理由で稽古してたんじゃない。代役だよ、代役。今度の公演ではどうしても代役を立てざるを得ない事態に見舞われたってことなんだ。結構大切な役の生徒にドクターストップ!あちゃぁ!なんとかならんか?ならんよなぁ。まぁ、これだけ頻繁に公演打ってるからいつかはきっとこんな窮地にも追い込まれて当然なんだ。

 仕方ない!代役で乗り切ろう、ってことでわずか一週間前に代役を決定した。僕が白羽の矢を立てたのは一年生のI。力はあるんだけど、度を超した恥ずかしがり屋。セリフの一言、動作のひとつひとつに羞恥心が顔をもたげる。ええっ、いいの、Iで?相談した顧問Nの表情にはあからさまに不安が浮かんだね。でも、決断した。理由は、声が出ること、方言が話せること。

 見込んで立てた代役だったけど、やっぱり荷は重い。最初の稽古は萎縮、未熟、顰蹙の三連打だった。声小さい、身体がちがち、動きぎくしゃく。おいおい、やれんのか?って後悔したって始まらない。彼女で行くしかないんだから。鋭く厳しく、だめ出しを続ける。とりわけ声。周りの上級生にひけを取らない声をひたすら要求。声が出ない理由が発声にあることを丁寧に教え、呼吸は意図的に行わないと声に力が出ないってことをとことん教えた。

 今回はひとつ餌もつるした。それは部活の休み。土日が公演なので、その前日の代休日を休みにするってことにした。ただし、代役に目途がついたらって条件付きだ。俄然、勢いついたね、他の部員たち。稽古でも頑張れ!のかけ声が飛ぶ意気込みだった。

 その成果もあったんだろか、この数日間で見る見る上達して、声もしっかりと動きもスムーズに、表情も場にふさわしいものに変わることができた。他の一年生とは格段の違いだ。大きな役で舞台を踏む、それがたとえ代役であっても、いや、代役だからこそ、一年生はしっかり頑張る。その張りつめた意欲、っていうより絶対絶命感が一気にこれまでの壁を突き抜けさせるんだろう。
 
 人間、やっばり追い詰められないとダメってことなんだよな。窮鼠猫を噛む、火事場のくそ力、昔から言われていたことだ。代役は役者をそんな断崖絶壁に追い込む。やらなきゃならない!やるっきゃない!ここで開き直って力が出る。敢えて言おう。代役でこそ役者は育つ。大役もらってこそ、演技は伸びる。明後日の公演、Iはきっと見事代役のつとめを果たしてくれることだろう。

 おっと、来週はさらに大きな代役が待っていた!なんと三人も!そのうち一人は主役!!おおおーっ!!!ちょうど四大の推薦入試シーズンなんでね、仕方ないんだ。こんな時に公演引き受けちまった僕が悪い。すでに数ヶ月前から代役は指示してある。多分、今回のI同様、しっかりと役を果たしつつ大きく成長してくれることだろう。うん、そう、信じよう!!

 

 

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