ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

好みの問題なんですが、こまつ座『闇に咲く花』

2012-07-04 23:37:57 | 劇評
 劇評なんてもんじゃない。要するに好みの問題なんだ。

 どうしても好きになれない、この芝居。舞台は生き生きとしていて役者もそれぞれ精一杯頑張ってる。装置も見事な作りだし、照明も時折どきっとするような明かりを作っていた。前半は快調なピッチで爆笑に次ぐ爆笑で、いいな、生徒連れてきて良かったなって思ってたんだけど、・・・・・

 飽きた、後半は。緊迫感のあるシーンが立ち上がってるってのは感じるんだけど、どうにも一歩引けてしまった。井上さんの弟子を自称する身で、いいのか?それで??

 理由の一つは、僕には神社について井上さんのような思い入れが無いってことだ。お寺の境内では毎日遊んでいた(家が寺だから)が、隣の神社に入り込むのは、飛び込んだ野球ボールを取りに行くくらいのことだった。とてもとても、そこに佇んで清らかな気持ちになるなんて経験は皆無だ。愛着も執着もない存在だから、改めて神社の戦争責任を問いかけられても、ああ、そうだよね、を超えて響いては来なかった。

 もう一つの理由は、C級戦犯のこととか、兵士を見捨てた士官たちのこととか、やっぱ、今更って感じがどうしても抜けないんだな。忘れちゃ行けない!忘れればまた繰り返すことになるから、って言う井上さんの叫びはよくよく伝わってくるのだが、結局、心を打つってところまでは行かなかった。

 どうも、戦争の話しとなると井上さんは激してしまって、もろ見せって感じになってしまう気がする。そこが引いてしまう原因なんだと思う。大切な事だし、上手に処理されてはいる。それでも、主張があからさまなんだなぁ。

 僕としては、正論を聞きたくて芝居を見に行ってるわけじゃない。日頃の感覚がどんでん返しでひっくり返されるような体験がしたくて見に行っている。「日本のへそ」のようなとことんの猥雑さや「天保12年のシェークスピア」のような底なしの悪意とか、そんなもんで圧倒されたいと思うんだ。

 結局は、好みの問題なんだよな。井上さんごめんなさい。平和を願い、民主主義を思う気持ちには絶対的に共感する。でも、それは舞台で見たものとは違うんですよ、僕の場合。

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