ステージおきたま

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『未来を花束にして』U-next、選挙権獲得に向け激走した女たち!

2021-03-15 09:15:49 | 映画

 よしよし、アマゾンプライムビデオで無料で見られるぞ、ってほくそ笑んでたら、あれれぇ、「この作品は視聴できなくなりました」だってよぉ。なんだい、もっと早く見ときゃよかった。でも、『未来を花束にして』見たい映画だよなぁ。サフラジェットを知る資料としても、ぜひぜひだったし、すでに見た友人からも感動のお知らせもらってたから。なんとか、どこかで見られないもんか?レンタルでもいいし。

 タイトルで検索。あら、あるじゃない、U-nextで無料視聴可能だぜ!やったね、今度は機会逃さぬようにしなけりゃ。さっそく入会手続きして視聴。

 サフラジェットは、19世紀後半から20世紀前半にかけて、婦人参政権を求めて果敢に戦った女性たちのことだ。映画は、洗濯工場でこき使われ、工場主にも好き放題、セクハラ、パワハラされてた女性が、ひょんなことから、サフラジェットの活動に巻き込まれしだいに意識を精鋭化させて、活動の重要な担い手になって行く、という話しだ。政治家に騙され、警察の暴圧に晒されながらも、女性解放に命をかけて行く多くの女性たち、その姿が息詰まる迫力で描かれている。信念に生きることの厳しさ、そして崇高さを思い知らされる映画だ。

 主人公の場合どん底に近い貧民なので、階級闘争の意味合いも強いのだが、そこいらは、やや史実からはみ出しているかもしれない。サフラジェットの活動を中心に担ったのは、ブルジョワ階級、中産階級の婦人たちだったようだ。もちろん、労働者階級の女性たちもいたが。まだ勉強が不十分なので、断定はできない。生活にゆとりもあり、社会的地位ある家庭の主婦?たちが、その安穏とした暮らしを投げ捨て、家人との激しい軋轢を踏み越えて過激な活動に突き動かされて行った。

 そう、本当に超過激なのだ、彼女らの取った作戦は。

 政治家や有力者の馬車に投石する!金持ち相手の豪奢な店舗のショーウィンドウに石を投げて破壊する!郵便ポストに火を放って郵便物を燃やす!人を傷つけないことを条件に、ありとあらゆる破壊工作を実践した。ついには、時の首相の別荘さえ爆破した!!

 警察の捜査、弾圧も熾烈を極め、入獄は茶飯事、人によっては半年、一年を超す刑期を耐えた女性もいた。獄中でも闘志は萎えることなく、ハンガーストライキを断行し、手を焼いた当局は、強制給餌、ほら、フォアグラ取るために漏斗で無理やり餌を流し込むってあれだ、という非人間的対応にまで手を出した。それでも負けない女たち。

 そして、ついに、ダービー当日、サフラジェットの旗を掲げた女性、エミリー・デイヴィソン、は疾走する国王の馬に立ちはだかり、跳ね飛ばされた死んだ。この衝撃的出来事は多くの市民の共感と悲しみを呼び起こし、その葬列には数多くの女性、男性が連なり、沿道をうずめたたくさんの人々に送られた。

 映画では、この犠牲的行動が、女性の選挙権獲得を引き出したように描かれているが、これもまた史実とは異なる。度重なる実力行使に反対するグループ、サフラジストと言った、との亀裂も深まり、サフラジェット内も分裂するなど、運動は低迷するのだ。そして、突如、飛び込んでくるのは、ドイツへの宣戦布告、第一次世界大戦の勃発だった。

 迫りくる戦乱に女たちはどう立ち向かって行ったのか?

 戦いの即時中断、母国イギリスの戦時体制への全面協力、これが彼女たちの決断だった。

 男たちはヨーロッパ戦線に駆り出され、熾烈な塹壕戦を戦い、数百万単位の死傷者が出た。手薄になった国内での戦時生産の現場で、力を発揮したのは女たちだった。工場での肉体労働、交通運輸などの技能労働、さらには、軍人としての勤務まで。これまで男の仕事と見做された分野をどんどん担った。この過酷な戦時を逞しく生き抜いて、女性たちの社会的地位は大きく変わったのだ。社会活動に欠かせぬ女性の働き。もはや、女たちを抜きに社会活動は語れぬようになった。皮肉なものだ。戦争、戦いという男らしさの発露を通して、女たちの活躍の場が広がったのだ。

 そして、戦後、女性の参政権も認められることとなった。歴史の皮肉、と言えないこともない。が、戦時の女たちの活躍を準備したのも、女性たちの声を聞く態度を身に着けたのも、それ以前の身も心も家庭も投げうったサフラジェットやサフラジストたちの行動があったからだということを忘れないでおこう。

 

 


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