泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

こんな夜に飲んで語り合えないなんて

2021-05-22 22:14:48 | 丹下一の泡盛日記
午前中は久しぶりにTama+チームでZOOMの稽古。
何を稽古した、というよりもZOOMの使い方を思い出すための時間。

その後、新宿へ。
混雑していない空間を、とのご指定で、
20年くらい前、よく打ち合わせに使っていたカフェ。
コーヒー飲み過ぎでペリエなんか頼んじまった。
過去ではなく前を向いていきましょうね、と確認しあった70分だった。

西新宿にいるとどうしてもこの道を抜けたくなる。
13歳から40歳までの濃い、濃すぎるような時間を走り抜けた新宿の街。
いかんいかん、過去を向いてしまっている。

花園神社へ。
新宿に来たいという外国の友人たちは必ずここに連れてくる。
その夜の最終電車で成田に向かうという広東の女優のCを連れてきたら、盆踊りの最中で。
大丈夫、誰でも参加できるから、と彼女を輪の中に押し込んだ。
その後「どん底」でがっつり飲んで、新宿駅でハグして「またすぐ会おうね」と別れた。
なのに。
ああ、いつになったら会えるのだろう。
また一緒に何かやりたいなあ。
あ、また過去を向いている。

花園神社に来たのは、唐組の「ビニールの城」を観るため。
素晴らしい舞台だった。
1985年当時、第七病棟の初演は観ることができなかった。
絶賛の声がたくさん聞こえてきて。
悔しかったものだ。
もちろんそれと同じものであるはずはなく。
それなのに、久しぶりに芝居を観て涙が出た。
役者も素敵なんだけど、何よりも戯曲がいい。
唐十郎は近松、南北に続く戯作者として歴史に残るべき存在だ。
こんな最高の時間を過ごした後に、素面で地下鉄で帰るなんて、本当に精神的健康に悪い。
こんな夜に発車できないなんて。
偶然、旧状況劇場のシンパで旧流星舎をご一緒していた女優さんと会い、
客席で並んで立ち会っていた。
この時空を共有した彼女と思いっきり飲んで語りたい。
帰宅して誰かにこの思いを叫び散らしたい。
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