泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

健全な視座

2009-03-11 23:39:30 | 丹下一の泡盛日記
 昨日、今日と家事と仕事に明け暮れる。かみさんは時折登場しては「花粉症の薬は眠くなる」とぼやきつつ(たしかにその通りだ)、お昼寝。。。
 自分も電車に乗って座ったとたんにとても心地よい眠りに誘われる。そして夕方、鼻水がたら~っと落ちてきたら薬が切れてきた合図だ。

 STORE HOUSE COMPANYの舞台のことを考えている。
 演出の木村さんの視線の健全さについて。
 もちろん演劇の世界にいて演出家であり劇団代表で劇場まで運営しているのだから「業はとても深い」はず。心の穴を埋めるために走り続けていると言ってもよいと思っている。
 かつて自分が好きだった舞台は、もっと闇と毒が強いものだった。そして当時はその闇と病いのようなものとの区別ができなかった。
 
 昨年、ある舞台を観たとき、出演している俳優たちがまるで患者さんたちのように見えた。
 「患者さんたち」というのは自分が精神科で行われたプレイバックシアターのワークショップにボランティアで参加していたとき、一緒に時間を過ごした通いの患者さんたちのことである。
 そして、病気から早くよくなりたいと願っている人たちと、その「病気」の方向に向かいたいと自分には見えてしまった俳優たち。正反対のベクトルがあるように思えてしまう。

 木村さんの視線は、そこで健全さを保っている。だから俳優たちは自分を保ったまま躊躇なくある地平に突っ込んでいけるのかもしれない。
 そして、俳優たちが「病気」に向かうベクトルをみつめてもその領域の深みにはまることを許さない。
 この「健全さ」は、たとえば「常識人」という言い方では決してない。深い穴を掘り続けて、出られなくなっているのとも違う。むしろ視野は広い。
 
 今回惜しくも解体社を見逃してしまった。なんとかして立ち会いたかったと思う。
 そして、木村さんのSTORE HOUSE COMPANYも解体社も日本で広く認められる日が来てほしいと思う。
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