泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

トリノ王立劇場の「椿姫」に感動

2010-07-30 09:22:11 | 丹下一の泡盛日記
 昨夜、ものすごいものをみた。
 上野文化会館でイタリアのトリノ王立歌劇場の引っ越し公演。「椿姫」。
 かみさんが知人に強く勧められてお高いチケットを購入していた。

 オペラを観るのは久しぶりだ。(一応6月に自分で演出してるけど♪)
 装置からして自分の趣味で。
 幕開きのシーン(オペラに詳しいかみさんによると普通はオケだけでこういう場面は無いという)から引きずり込まれてしまった。
 そして主演のナタリー・デセイと恋人の父親役のローラン・ナウリに惚れ込んだ。(後でパンフレットを買って知ったのだが2人は夫婦だった)
 この2人、自分には「素晴らしい役者だ」という言葉が自然に口をついて出た。
 というか見終わって「役者たちがさあ」と言ってしまう。
 今までみたオペラ、素敵なものもたくさんあった。そしてどれも「歌手」が演じていると感じていた。

 今回は「台詞」も何回かあり(「椿姫」を何度もみているかみさんによるとこれも異例なのだとか)、現代演劇の演出家の作品として見入ってしまった。
 デセイ、美しい。小柄でエネルギッシュ。せつない声がどうして3階にいる自分までふるわせるのか。
 そして、裸足で走り回る姿にふと仙台の女優・丹野久美子さんを思い出す。
 かみさんも大興奮。
 他の客も興奮。最後はスタンディングオベーション。ただ、さっさと帰って行った客も何人か。
 かみさんは「豪華な装置や衣装を期待している日本のオペラファンの間では賛否両論になるだろう」と。
 本当にそうなのか? この素晴らしさが伝わらないのか!?
 そういう「ファン」は衣装や装置や着飾った白人をみに来ているのだろうか、芝居の中身ではなく。

 この舞台のことは一生忘れないだろう。もう1日だけ本番がある。も一度みたいが稽古と重なっていて無理。残念。日程があえばその場でチケットを買っただろう。値段は問題ではない。
 会場で売られていたデセイ出演のDVDを2本、CDを1枚購入。他に自分が以前テレビでみて覚えていた別の「椿姫」のDVDも。チケット代を含めるとものすごい散財だったが、こういうときにお金使わなくて、いつのためにちまちまと稼いでいるのだ♪

 2人ともかなり興奮した状態で居酒屋へ。こういうものを観た後は飲まないといけない。
 ほんとお互い酒飲みでよかったね♪

 デセイがすごいのか? トリノがすごいのか? それともイタリアがすごいのか?
 イタリアは8年前に一度だけ行ったことがある。
 ものすごいアクシデントがあって、そしてイタリア人が好きになった。
 やっぱりイタリアって体質的に合うのかなあ? ちなみにデセイとナウリはフランス人だけど。。。
 
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