泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

劇団アランサムセ結成35周年公演「NOGOJIRI」、見るべき!

2023-10-22 00:27:18 | 丹下一の泡盛日記
劇団アランサムセ、という名前はジァン・ジァンのチラシで知っていた。
1990年ごろか、自分たちも渋谷を拠点にしていた頃。
その後、彼らがタイニイ・アリスで公演をしていることも知っていたのだけど、出会う機会がなかった。
西村博子先生の追悼イベントのおかげでこの劇団の脚本・演出の二人と引き合わせていただいた。
そして、土曜日の今夜、時間ができて高田馬場へ。
自分が「育った」新宿のこのエリアで、在日朝鮮人の劇団の公演を見ることになるとは。
結成35周年の記念公演は、チラシのコピーにある
「諦めた僕と、
諦めようとしている私が出会った。」
という「舞台」で。
脚色・脚本の金惠玲(キム へリョン)の想いが深く投影されている。
やっぱり、役者がいい。
韓国(この舞台は在日朝鮮人だけど)の舞台でいつも役者にノックアウトされるのだけど、この舞台も。
そして、脚色された脚本が素晴らしい。
歴史を見つめていく視線。
それは、何よりも「日本人」が今こそ持つべき視座だと考えている。
「諦めちゃいけない」。
全共闘の終焉に始まった漫才ブームを思い出す。
そんなこんなをまとめ上げていく演出が素敵。
役者4人でも、最終場面でテントの背後の幕が開いた、気がした。
幕が落とされた背後が全面鏡なのは、実は自分たちはタイニイアリスでもやっているのだけど、素敵に衝撃的で嬉しかった。
エンターテイメントしか報道されない時代だと考えているのだけど、
70年代の雑誌「新劇」が生きているならば、絶賛したであろう舞台。
だって今この瞬間も戦火の只中で生きようとあがいている人がいる、
その瞬間に向き合っている。
それは、彼らの現実でもある。
そしてもちろん、自分の現実でもあるはずだ。
追い続けるべき劇団に、また出会ってしまった。
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