集歌 3678 伊毛乎於毛比 伊能祢良延奴尓 安伎乃野尓 草乎思香奈伎都 追麻於毛比可祢弖
訓読 妹を思ひ寝(ゐ)の寝(ぬ)らえぬに秋の野にさを鹿(しか)鳴きつ妻思ひかねて
私訳 貴女を想い寝るのに寝られない秋の野に、牡鹿が鳴いている。妻を恋しく想って。
集歌 3679 於保夫祢尓 真可治之自奴伎 等吉麻都等 和礼波於毛倍杼 月曽倍尓家流
訓読 大船に真楫(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)き時待つと吾(あ)れは思へど月ぞ経(へ)にける
私訳 大船の艫に立派な舵を挿し込む時を待つと私は思っているのだが、月日だけが過ぎて逝く。
集歌 3680 欲乎奈我美 伊能年良延奴尓 安之比奇能 山妣故等余米 佐乎思賀奈君母
訓読 夜(よ)を長(なが)み寝(ゐ)の寝(ぬ)らえぬにあしひきの山彦(やまひこ)響(とよ)めさ男鹿(をしか)鳴くも
私訳 夜が長い。私は恋しくて寝るに寝られずに、葦や檜が繁る山の山彦よ響け、妻を呼び立てる牡鹿が鳴いている。
肥前國松浦郡狛嶋亭舶泊之夜、遥望海浪、各慟旅心作歌七首
標訓 肥前國の松浦郡の狛嶋(こましま)の亭(とまり)に舶(ふね)泊(はて)せし夜に、遥かに海の浪を望みて、各(おのおの)の旅の心を慟(いたま)しめて作れる歌七首
集歌 3681 可敝里伎弖 見牟等於毛比之 和我夜度能 安伎波疑須々伎 知里尓家武可聞
訓読 帰り来(き)て見むと思ひし吾(あ)が宿の秋(あき)萩薄(すすき)散りにけむかも
私訳 無事に帰って来たら見ようと思った私家の秋のススキは散ってしまうだろう。
右一首、秦田麿
左注 右の一首は、秦田麿
集歌 3682 安米都知能 可未乎許比都々 安礼麻多武 波夜伎万世伎美 麻多婆久流思母
訓読 天地(あまつち)の神を祈(こ)ひつつ吾(あ)れ待たむ早来(はやき)ませ君待たば苦しも
私訳 天地の神に祈って、私は待ちましょう。早く帰って来て下さい。貴方のお還りを待つと気持ちが辛い。
右一首、娘子
左注 右の一首は、娘子(をとめ)
訓読 妹を思ひ寝(ゐ)の寝(ぬ)らえぬに秋の野にさを鹿(しか)鳴きつ妻思ひかねて
私訳 貴女を想い寝るのに寝られない秋の野に、牡鹿が鳴いている。妻を恋しく想って。
集歌 3679 於保夫祢尓 真可治之自奴伎 等吉麻都等 和礼波於毛倍杼 月曽倍尓家流
訓読 大船に真楫(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)き時待つと吾(あ)れは思へど月ぞ経(へ)にける
私訳 大船の艫に立派な舵を挿し込む時を待つと私は思っているのだが、月日だけが過ぎて逝く。
集歌 3680 欲乎奈我美 伊能年良延奴尓 安之比奇能 山妣故等余米 佐乎思賀奈君母
訓読 夜(よ)を長(なが)み寝(ゐ)の寝(ぬ)らえぬにあしひきの山彦(やまひこ)響(とよ)めさ男鹿(をしか)鳴くも
私訳 夜が長い。私は恋しくて寝るに寝られずに、葦や檜が繁る山の山彦よ響け、妻を呼び立てる牡鹿が鳴いている。
肥前國松浦郡狛嶋亭舶泊之夜、遥望海浪、各慟旅心作歌七首
標訓 肥前國の松浦郡の狛嶋(こましま)の亭(とまり)に舶(ふね)泊(はて)せし夜に、遥かに海の浪を望みて、各(おのおの)の旅の心を慟(いたま)しめて作れる歌七首
集歌 3681 可敝里伎弖 見牟等於毛比之 和我夜度能 安伎波疑須々伎 知里尓家武可聞
訓読 帰り来(き)て見むと思ひし吾(あ)が宿の秋(あき)萩薄(すすき)散りにけむかも
私訳 無事に帰って来たら見ようと思った私家の秋のススキは散ってしまうだろう。
右一首、秦田麿
左注 右の一首は、秦田麿
集歌 3682 安米都知能 可未乎許比都々 安礼麻多武 波夜伎万世伎美 麻多婆久流思母
訓読 天地(あまつち)の神を祈(こ)ひつつ吾(あ)れ待たむ早来(はやき)ませ君待たば苦しも
私訳 天地の神に祈って、私は待ちましょう。早く帰って来て下さい。貴方のお還りを待つと気持ちが辛い。
右一首、娘子
左注 右の一首は、娘子(をとめ)
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