9月8日(日)未明にIOC総会の投票により2020年の夏季五輪大会の東京都での開催が決定しました。
私は、朝6時から行われる地域の防災訓練に参加するため早起きしていまたので、この決定の瞬間をテレビで知り、長野冬季五輪の決定の瞬間を思い起こし感激しました。
しかし、開催地決定のため前日に行われたプレゼンテーションや質疑での福島の原発に対する安部首相の発言には、違和感を感じました。
それは、福島第1号原発事故は震災後、依然として終息していないばかりか、汚染水タンクの放射線漏れやタンクに貯められた汚染水の処理方法が先送りされたまま、汚染水が地下に漏れ出す事故が相次いでおり、本当に将来に渡って世界に安全が約束できるのかということです。
とは言え、安部首相は責任をもって安全を保障することを世界に向かって約束しました。
五輪招致のためIOC委員を一面突破することは出来ても、福島第1号原発の現状からは将来的に安全で安心出来る姿は、全く描かれていません。
五輪開催は決まっても、この原発問題終息への日本政府の取り組みは、さらに世界各国から注目されることを政府が自覚するとともに、国民もその取り組みを注視する必要があります。
以下に、9月9日に報道された毎日新聞の記事を紹介します。
<安倍首相>汚染水「完全にブロック」発言、東電と食い違い
安倍晋三首相が、7日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の五輪招致プレゼンテーションで、福島第1原発の汚染水問題をめぐり、「完全にブロックされている」「コントロール下にある」と発言したことについて、「実態を正しく伝えていない」と疑問視する声が出ている。
【汚染水、首相は最終プレゼンでこう説明した】
9日に開かれた東京電力の記者会見で、報道陣から首相発言を裏付けるデータを求める質問が相次いだ。担当者は「一日も早く(状況を)安定させたい」と応じた上で、政府に真意を照会したことを明らかにするなど、認識の違いを見せた。
防波堤に囲まれた港湾内(0.3平方キロ)には、汚染水が海に流出するのを防ぐための海側遮水壁が建設され、湾内での拡大防止で「シルトフェンス」という水中カーテンが設置されている。また、護岸には水あめ状の薬剤「水ガラス」で壁のように土壌を固める改良工事を実施した。
しかし、汚染水は壁の上を越えて港湾内に流出した。フェンス内の海水から、ベータ線を出すストロンチウムなどの放射性物質が1リットル当たり1100ベクレル、トリチウムが同4700ベクレル検出された。東電は「フェンス外の放射性物質濃度は内側に比べ最大5分の1までに抑えられている」と説明するが、フェンス内と港湾内、外海の海水は1日に50%ずつ入れ替わっている。トリチウムは水と似た性質を持つためフェンスを通過する。港湾口や沖合3キロの海水の放射性物質は検出限界値を下回るが、専門家は「大量の海水で薄まっているにすぎない」とみる。
さらに、1日400トンの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込むことで汚染水は増え続けている。地上タンクからは約300トンの高濃度汚染水が漏れ、一部は、海に直接つながる排水溝を経由して港湾外に流出した可能性がある。不十分な対策によるトラブルは相次ぎ、今後もリスクは残る。「何をコントロールというかは難しいが、技術的に『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」(経済産業省幹部)という。
安倍首相は「食品や水からの被ばく量は、どの地域も基準(年間1ミリシーベルト)の100分の1」とも述べ、健康に問題がないと語った。厚生労働省によると、国内の流通食品などに含まれる放射性セシウムによる年間被ばく線量は最大0.009ミリシーベルト。だが、木村真三・独協医大准教授は「福島県二本松市でも、家庭菜園の野菜などを食べ、市民の3%がセシウムで内部被ばくしている。影響の有無は現状では判断できない」と指摘する。
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