Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

尻に敷かれる美しさ

2012年06月10日 | 映画など
小津安二郎監督『淑女は何を忘れたか』を見る。
妻の尻に敷かれっぱなしの夫と、
大阪からやってきたおきゃん(死語)な姪が織りなすコメディ。
1937年(昭和12年)に作られたとは思えないほどの
モダンさとスタイリッシュな演出。



栗島すみ子演じる妻は、しっかり者で、
物言いをはっきりするうるさ型の女房。
斎藤達雄演じる夫は、飄々とした大学教授。
「亭主をコントロールしていると女房に思わせるとうまく行くんだ」と
姪の桑野通子を諭す。絶妙な尻の敷かれ具合が楽しい。

斎藤達雄は、初期の小津映画に欠かせなかった俳優で、
180センチを超える長身だったらしく、
喜劇味を帯びながらも、ハードボイルドな雰囲気も持つ。
いま、こんな俳優いないなあと。
強いて言うなら、竹中直人を長身にして、
クリント・イーストウッドの要素をふりかけた感じといえば伝わるだろうか。

映画のあとは中野翠『小津ごのみ』を再読。
なんともまあ、至福のとき。


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