Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

娘ごころを渡世にかけて

2014年05月16日 | 日々、徒然に

鈴木則文監督が亡くなったという。

享年80。そうなのか。いつ亡くなってもおかしくない

年齢だったのかと。

 

則文監督と言えば、

なんといっても「トラック野郎」だろう。

エネルギッシュで下品で、すこぶる面白いシリーズなのは

周知の通りだけど、近年とみに評価が高く、

関連書籍もたくさん出ているほどで、則文監督のステータスもうなぎ登りだった。

「徳川セックス禁止令 色情大名」「エロ将軍と二十一人の愛妾」といった、

東映ポルノ路線の代表的存在だったことも、今ではリスペクトの対象となっている。

ただ、それは本当にここ10年ぐらいの評価であり、

もっと早く評価すべき監督だったと思う。

ヒット作をたくさん手がけた監督だったけど、現役当時、評論家筋には

まったく無視されていたと思う。リアルタイムで評価していたのは蓮實重彦ぐらいだったような。

 

ともあれ、面白い映画をたくさん撮ってくれた監督で、

個人的には、藤純子の任侠シリーズ「緋牡丹博徒」の産みの親(脚本)として、

則文監督の名前は決して忘れることは、ない。

加藤泰監督の「お竜参上」「花札勝負」も名作だけど、

本人が監督した「一宿一飯」も、お竜さんが背中の緋牡丹の刺青を露わにして、

女の幸せを犠牲にして渡世に賭けようとする、

そのシーンの美しさ、そして哀しさ。絶品でした。

 

皮肉だけど、亡くなったことで、

今後さらに評価が高まることだろう。

生前、監督と呼ばれることすら嫌がって、

俺は裏方だからと言ってはばからなかったと聞く。

そんな則文監督、今ごろ、天国で苦笑しているかもしれないな。

映画は楽しければいい。馬鹿だなあと笑ってそれでいいんだけどなあ、と。

 

 

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