Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

生きてこそ地獄

2022年06月14日 | 日々、徒然に
石井隆監督。
まだ監督作にたどり着けていないけれど、
脚本を手掛けた作品であと1本、触れておきたい。
相米慎二監督がにっかつで撮った
唯一のロマンポルノ「ラブホテル」(1985)。
これはもう傑作とか名作という範疇には収まらない。
日本映画史上、最高の1本だと断言する。


借金まみれで破産。例によって人生崖っぷちの村木が、
自死を決意し、その前にデリヘルで呼んだ女が名美。
性愛の悦びにあえぐ名美に震撼した村木は
生きる希望を見出し、死ぬのを思いとどまる。

数年後、タクシー運転手となった村木が、
客として乗せた女が名美だった。
村木は彼女のことを「天使」と呼び、
タクシーは海が見える港に向かって一直線に走る。
流れるBGMは山口百恵の「夜へ」。高まる情感。
ヒールを脱いで埠頭を歩く名美。今度は彼女が死のうとしていた。
タクシーのヘッドライトが名美を照らす。そのときの移動ショット。
男と女の情動がほとばしり、見る者は自分の感情が
全部持って行かれるのを体感することだろう。

写真は、名美と村木の埠頭でのデート場面。
心を通わせるふたりを祝福するかのように、
もんたよしのりの哀感漂う「赤いアンブレラ」が流れる。

相米監督お得意の長回しとケレン味のある演出に、
石井隆のロマンチシズムが融合。
そこに速水典子と寺田農の名演が加わった。

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