Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

人の気持ちなどわからない

2007年08月27日 | 映画など
スティーブン・オカザキ監督『ヒロシマ/ナガサキ』を見る。
ここ最近、当事者の言葉の意味を考えることが多く、
まさに当事者の言葉で構成されたこの映画を見ながら、
原爆を体験していない自分に問いかけていた。
「この人たちの気持ちが本当にわかるのか」と。



結論から言うと、
「被爆した人の気持ちはわからない」である。
この映画に登場する被爆者の人たちの体験は、
思わず目と耳を塞ぎたくなるほどの不幸にまみれている。
それでも僕は、彼らの話を聞き、
悲しい人生に思いを馳せ、
ときには涙ぐむ。
そして「戦争は二度とやってはいけない」と思う。

そう思う自分は正しい、と思う。
観客をそういう気持ちにさせるのが、
この映画の目的であることは明らかだ。

でも、わからない。
そして、本当の意味で彼らを理解できない。
そう思う自分がいる。

もしかしたら、
ヒステリックに「戦争反対!」と言ってしまいそうな
自分が嫌なのかもしれない。
だから、できるだけクールに
ヒロシマとナガサキの悲劇を受けとめようとしているのだろうか。

ワンシーンだけ安堵したところがあった。
被爆者の老人が、自分の体験を語ったあと、
広島市民球場で、カープの応援をしている場面だ。
カープの選手がタイムリーを打ち、
その老人はメガホンを持って、喜ぶ。

僕も、もし何かの拍子に被爆(ありえない話では、ない)して、
不治の病に悩まされたとしても、
きっと神宮球場に行き、ドラゴンズの応援をするだろう。

悲惨な体験をした人でも、
どこかの瞬間で、楽しく高揚する瞬間を得ることができる。
それが人間ってものだし、人生なのかもしれない、と。


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