Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

その艶姿は永遠に

2023年03月22日 | 映画など
庵野秀明監督「シン・仮面ライダー」を見る。
いろんな人がいろんなコトを言うだろう。
なので、見ようと思っている人は
なるべく情報をシャットアウトした方がいいです。
これから書くことは
ぜーんぶネタバレになるのでご注意をば。
でもね。ひと言だけ言わせてください。
本作は長澤まさみに尽きる! 以上。
って、前も同じようなことを書いたような。


変身ポーズや効果音、劇伴、登場人物の名前など、
昭和のライダーの要素があちこちに散りばめられており、
昔の記憶が呼び起こされて、懐かしいけれど、
ちょっとチクッと心に刺さる。なんか子ども時代の
あまりよろしくない記憶も呼び戻されるからかもしれない。
ライダーカードの思い出とか。

蜘蛛男の造形カッコいいなあと思いつつ、
「クモオーグ」という呼称に違和感。
でも令和の時代に合わせたアップデートということで納得する。

それを言ったら、ショッカーは
SHOCKERという表記になったらしく、検索してみたら

Sustainable Happiness 
Organization with Computational 
Knowledge Embedded Remodeling
(持続可能な幸福をめざす愛の秘密結社)

の略らしい。
悪の組織ショッカーはサステイナブルなのだ。

お馴染みの戦闘員との戦いを、
血みどろの殺し合いとして
リアリティーを追求している反面、
怪人(ではなくオーグですな)との戦闘シーンの
特撮はあえてチープでコミカルに見せる不均衡な感じ。

登場人物は一対一で、画面の両側から向き合って立ち、
対話をするショットが多用される。
それは物語がコミュニケーションやディスカッションで
進んでいるからだと想像する。
庵野監督の映画はいつだってディスコミュニケーションと、
その悲劇(喜劇にもなりうる)をテーマにしてきたと思うし。

ライダー1号の池松壮亮の重い演技と、
2号柄本佑の軽妙な芝居のコントラストは
かつてのテレビシリーズを踏襲していて、
昭和からのファンには好まれると思うし、
ロボット刑事やキカイダーらしきキャラを登場させるなど、
石ノ森作品へのリスペクトもじゅうぶん感じられる。

SHOCKERの首領(というのかな?)を
山本未來が演じていることもあり、
どこか舞踏的というか演劇的な空間での戦いがクライマックス。
東映時代劇や任侠映画の伝統を踏まえ、
型にはまった様式美を追求している感もある。

でも。そんな些末なことはどうでもいい。

この映画で最も重要なのは、
長澤まさみが出ているということだ。
「シン・ウルトラマン」では巨大化して、
映画史にその存在を刻んだ長澤さんが、
本作ではさそり男、いや、さそり女、
もとい「サソリオーグ」として
悪の魅力のみならず、ものすごいお色気と
狂気を炸裂させているのです。
ほんの数分の登場ながら、いちばん美味しいところを
かっさらっていく俳優としてのポテンシャルの高さ。

長澤まさみはきっとこれからも第一線で
俳優の道を歩んでいくだろうし、いずれは
大女優と言われる存在になると思う。
代表作もたくさん積み重なるだろう。
でも、お馬鹿なシネフィルの間では、
あのさそり女の長澤さんは素晴らしかった、
と永遠に語り継がれるような、そんな気がしてならないのです。
って、前も同じようなことを書いたような。
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