Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

死語が多くて何が悪い

2024年06月15日 | 日々、徒然に
久我美子さんが亡くなったそう。
享年93。なんとも残念。
華族出身だけに、気品あふれる魅力を
スクリーンに披露してくれた人で、
名作が何本も思いつく。

主役というよりは、二番手三番手の役どころで、
場面をさらう存在感があった人。
川島雄三監督の「女であること」では、
原節子と森雅之の熟年夫婦の亀裂を見るや、
森雅之に積極的にモーション(死語)を仕掛ける
おきゃん(これも死語)で奔放な娘を演じていた。
受けの芝居に徹する原節子を喰いまくる。

五所平之助監督の「挽歌」でも、
これまた森雅之にアタック(死語か?)しまくりで、
妻の高峰三枝子を死に追いやる役どころ。
もともと備わっている気品に情念が加わる。

うってかわって
小林正樹監督の名作中の名作
「この広い空のどこかに」では、
酒屋の家に嫁ぎ、夫の佐田啓二と
つましい生活に喜びを見いだそうとする
けなげな若妻を演じていた。
限りない優しさに溢れたこの映画の
象徴的な存在だったと思う。

同じく佐田啓二と共演した
小津安二郎監督の「お早よう」では、
お互い惹かれ合っているのに、
なにも言わないし、感情もまったく交錯させない、
あっさりとした関係性の清々しさ。

ほかにも木下恵介監督の「女の園」「風花」。
黒澤明監督の「酔いどれ天使」「白痴」。
などなど、日本映画の黄金時代に咲いた
名花のひとりでしょう。ありがとうございました。合掌。

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