Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

豊穣体感

2019年03月24日 | 映画など

アルフォンソ・キュアロン監督

「ROMA/ローマ」を見る。

まぎれもない傑作だと思うけど、

そんな言葉など吹っ飛ぶような

とにかく、すごいものを見たとしか言えないというか。

映画は見世物、アトラクションと言われることが

あるのだけど、とある中流家庭で働く

家政婦という名のジェットコースターに乗り、

70年代のメキシコを体感する135分。

 

 

ロングショットで長回し。

客観的なアプローチでありながら、

時代も政治も、家族も生活も、享楽も試練も、

スクリーンにまるっと映し出される凄さ。

 

この映画の唯一の欠点は、短いことだ。

もちろん135分という上映時間は十分に長いのだけど、

すべての場面が一瞬たりとも見逃せないというか。

上映時間が5時間ぐらいあっても、きっと飽きずに見続けるだろう。

 

家政婦クレアが子供たちの世話をするために、

バタバタと広い家の中を走り回るだけで。

自分を捨てて逃げた男を追おうとするけど、

落胆しながら映画館の入り口で座り込むだけで。

よくぞこれだけスリリングな絵というか、映像が撮れるものだなと思う。

 

妊娠したクレアが出産しようとするところ、

波にさらわれた子供たちを救いに

クレアが海に入っていくところにいたっては、

もう呆然とスクリーンを見つめるしかない。

主人公の喜怒哀楽が、映画に出てくる森羅万象と呼応している。

 

本作はNetflix製作なので、

配信でいつでも見られるのだけど、やはり映画館で

なるべく大きなスクリーンで見たほうがいいと思う。

アルフォンソ・キュアロン監督は、

ネトフリに本作の配信権を譲渡するときに

映画館で上映することを条件に入れたと聞く。

 

でもこのご時世、映画館で映画を見ること自体、

ものすごく贅沢なことだと思うし、

何より余分にお金がかかるわけで、

お勧めはするけれど、絶対映画館で、とは言えない。

でも家でPCで見るなら、せめて部屋のカーテンを閉めて、

電気を消して、スマホの電源も落として、

一人でこっそりひっそりPCの画面を見つめてくださいね。

 

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