ナンシー関「ナンシー関の耳大全77」(朝日文庫)を読む。
週刊朝日に連載されていた「小耳にはさもう」から
選りすぐりの77編を1冊にまとめた最新刊。選者は武田砂鉄さん。
ナンシー関は命の恩人である。
どういうことかというと、ナンシーさんが亡くなった年に
胃をやられて入院したことがあった。
手術をして、絶対安静で、しかも何も食べられず
点滴で栄養を入れるという苛酷な日々を過ごしていた。
そんなとき、ナンシーさんの「小耳にはさもう」の最新刊が出て、
三遊亭円楽師匠についてのコラムに大笑いしたことがあり、
それ以降、ぐんぐんと回復していった。
笑うということは何て素晴らしいんだろう、
ナンシーさんありがとう、ということで命の恩人なのです。
本書もその円楽師匠のコラムが収録されていて、嬉しい限り。
それはともかく、
あらためて、その文章の巧みさと、表現力の高さ。
絶妙な突っ込みとボケ。鋭い観察眼と批評精神。
そしてもちろん素晴らしすぎる消しゴム版画の数々。
自分も昔からナンシーさんのような文章を書きたいと思っていたけれど、
とてもじゃないけど、無理。なれっこない。
ただただ、感服。そして相変わらず笑わせてくれる筆致が
心地良さを連れてきてくれる。
選者の武田砂鉄さんも
ナンシー関フォロワーのようで、
彼女のように書きたいと思っていた。
と、あとがきで語っている。
武田さんなら行けるんじゃないかと思う。
彼の著作「日本の気配」で、
トランプ大統領の娘イヴァンカが来日した際、
日本のメディアが妙にちやほやしていた様子を見て、
「マライア・キャリー的ななにか」と形容していたけど、
そのあたり非常にナンシー関的なアプローチだなあと。
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