ジャン・ルノアール監督「恋多き女」を見る。
20世紀初頭のパリが舞台。
財産が底をついた美貌のポーランド公女が、
将軍や公爵、富豪たちを手玉に取りながら、
ついには、フランス国家そのものを動かしてしまうラブコメディ。
見ているこちら側も振り回されるほどの
スラップスティックぶりにただ驚くばかり。
歌って踊って、そして恋愛して。
それ以外に人生で大切なことなんかない、
というような登場人物たちが、バーグマンの周りに
入れ替わり立ち替わり現れて、狂乱の限りを尽くす。
そんなシーンをたたみかけるように見せられると、
ものすごい多幸感が押し寄せてきて悶絶しそうだ。
当時、ロッセリーニ監督と
「ストロンボリ」とか「イタリア旅行」といった、
やさぐれた映画(褒め言葉です)ばかり撮っていたバーグマンは、
このゴージャスかつ洗練された大作コメディで、
実に楽しそうに演じているように見える。
ジャン・マレーとかメル・ファーラーといった美男俳優を
はべらせているところなど、本来持ち合わせていた大女優のオーラが。
あたい、ホントはこういう映画が似合うんだから。
ルノアール監督、あたいのいいトコ、
ちゃんとわかってるじゃないの、
と言いたげなドヤ顔(褒め言葉です)が実に美しい。