Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

ボーイ・ミーツ・ガールをもう一度

2018年10月03日 | 映画など

チャン・ジュナン監督「1987、ある闘いの真実」を見る。

1987年と言えば、ソウルオリンピックの前年である。

そんな時期に韓国は軍事政権下で、

権力のすべてが大統領に集中し、独裁状態だったこと。

しかし、民主化を求めて、学生たちが運動を続けていたこと。

そんな時代だったわけで、隣国にいながら、

大して事情を知らなかった自分は、恥じるべきかもしれない。 

先日公開されたソ・ガンホ主演の「タクシー運転手」は、

光州事件を扱った映画だったけれど、

本作とセットで見ると、韓国の近代史がよくわかるというか。

両作とも傑作だし、見るべきでしょう。

 

 

民主化運動をしていた学生に拷問して

死なせてしまったことを

警察が隠蔽した事件(実話)が発端となる本作。

権力とカネにまみれて汚れちまった連中ばかりのなか、

悪いことは悪い、と有言実行した数少ない者たち、

検事や新聞記者、刑務官、牧師といった人たちが

ギリギリまで闘うドラマに目を見張る。

 

男くさい群衆ドラマだと思いきや、

映画の中盤から登場する女子学生が場面をさらう。

まったくのノンポリだったこの女の子が、

学生運動をしているイケメンに淡い恋心を抱きながら、

独裁政権下の不条理きわまる事態に

否が応でも気づかされていくところが一番の見どころ。

 

いい映画、面白い映画というのは、

込められたイデオロギーやテーマ、主義主張に感動するのではなく、

やっぱりボーイ・ミーツ・ガールなんだなあと。

コレがあるだけで映画は感動を呼び、普遍性を帯びるわけで。

この女子学生だけが架空の人物らしいけど、

そのあたりの脚色はお見事というか、作り手は賞賛されるべきでしょう。

女子学生を演じたキム・テリは、

パク・チャヌク監督の

あのグロテスク(褒め言葉)な「お嬢さん」に

出ていた新進の若手女優で、ぜひ今後も期待したいところ。

 

シネフィル的には、

おお。これはコリアン版「いちご白書」だと。

ノンポリの学生が、ひとりの運動家の女子学生に惹かれて、

そのまま学生運動に突入していくあの青春映画の名作に、

本作は似てるのではないかと

勝手に解釈して喜んでいるのです。

 

 

1970年のアメリカ映画「いちご白書」。

女子学生を演じたキム・ダービーが可憐だったなあ、と。

今どうしてるんだろう。

彼女はこの映画とジョン・ウェインと共演した「勇気ある追跡」、

それからアルドリッチ監督「傷だらけの挽歌」と、

3本の出演作で映画史に永遠に残るのです。

とシネフィルモードが炸裂しているので、スルーしてくださいな。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする