ということで、晴れ上がった目で
自宅近くのA眼科に行く。
ここには2年に一回ぐらいお世話になるのだけど、
そのたびに診察券がどこかに行ってしまっているのを思い出す。
久し振りに会った先生は、腫れ上がったまぶたをぐいとつまんで
思い切りめくり上げてきた。痛い、痛いです。先生。
「ふ~ん、結膜炎ですかね~あらら腫れちゃって~」
あららじゃないですよ、どうかお手柔らかに。
「じゃあ、こっちに寝てくださいね~処置しますから~」
しょ、処置って…何をしようというんですか?
「切開して膿を出しちゃいましょう~ちょっと痛いけど我慢してね~」
あれよあれよという間にベッドに寝かされ、
麻酔効果のある目薬を何回か差されたあと、
メスを持った先生が迫ってきたと思いねえ。
これは1928年に作られた「アンダルシアの犬」という映画の一場面。
ルイス・ブニュエル監督が、
サルバドール・ダリの協力を得て撮った実験映画だ。
シュルレアリスム映画の傑作としてあまりにも名高いのだけど、
冒頭、女の眼球を剃刀でスパッと切るシーンがあり、
今の自分はまさにそんな状態なのかと恐怖に震えるのでした。