Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

憎みきれないピュアな奴

2009年04月25日 | 映画など
ダニー・ボイル監督『スラムドッグ$ミリオネア』を見る。
インドのスラム出身の青年が
クイズ番組で億万長者を目指す姿を軽快なテンポで見せる。
去年の『ノーカントリー』といい、
妙な映画を作品賞にする最近のアカデミー賞だが、
これは、イギリスの監督がインドを題材にした観光映画であり、
妙な映画が選ばれたものだな、と思う。


Slumdog Millionaire(2008)

観光映画というと聞こえが悪いが、
親を亡くした幼い兄弟が、ストリートチルドレンとなり、
ヤクザに拘束されて、物乞いをするくだりや
劣悪な環境のスラム街と、経済発展するムンバイの町並みとの対比は、
きっと今のインドを表していると思われ、
そういう意味ですぐれた観光映画である。

主人公の青年は、
ひょんなことからテレビの人気クイズ番組に出る。
日本でもみのもんたがやっている
「ファイナルアンサー?」っていうのと同じアレで、
四択のクイズを正解し続けると、大金が手に入る仕組みだ。

その番組で主人公は、
それまでの苦難に満ちた人生経験をもとに、
クイズを次々と解いていく。
いくら波瀾万丈の人生を送ってきたからといって、
そんなに簡単に解けるものなのか?
という疑問を持つヒマもなく、テンポよく映画は流れていく。

主人公はまた、
ラティカという同じ境遇の少女のことをずっと思い続けており、
いまはマフィアの情婦になっている彼女を救い出そうとする。
とことんピュアであり、その行動はまっすぐだ。
いくらなんでも純粋すぎないか? 
という疑問を持つヒマもなく、テンポよく映画は流れていく。

インドの厳しい現実も、
クイズを回答していく臨場感も、
主人公のピュアな思いも、
設定はダークだが、希望に満ちたクライマックスまで、
一気に突っ走る。大した疑問も抱かせず。

それでいいのか、と少しだけ思う。
でもきっといいんだろうな、観光映画だし。
アカデミー賞だからといって、あまり高尚なものを求めないほうがいい。
これはただのエンタテイメント(褒め言葉)です。

ちなみに、ラストはネタバレになるので書かないが、
個人的に大好きなシーンが。だから憎めないというか。

コメント (2)
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