Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

馬の骨に勇気を与えてくれた日

2006年08月27日 | ささやかな幸せ
今作っている本で、
帯に入れる推薦文の依頼を、
とある著名な評論家にお願いするため、
マスコミ電話帳で連絡先を確認し、
さっそく連絡してみた。

マネージャー関係の人が出てくると思ったら、
いつもテレビで聞き慣れている声が出た。
本人だった。

本の趣旨を説明したが、
どうも、その趣旨にはあまり賛同できないと言われた。
推薦文を書くなら、全部読まなければならないし、
興味が湧くなら時間を削ってでも読むんだけど、と。

僕は、そこで
以前から自分もこの本の著者もあなたのファンで、
きっとわかっていただけると思ってお願いしているんです。
せめて、抜粋だけでも読んでいただけませんか、と、
泣き落とし、というか、情に訴える作戦に出た。

評論家氏は、しばし沈黙したあと、
じゃあ、一部だけメールで送ってみて、と言った。
喜び勇んで、メールを送る。
それも、なるべくその評論家の嗜好に合ったものを選んで。

すぐ返事が来た。
結果はNGだった。

でも、どこの馬の骨とも判らない人間の電話に対応し、
ちゃんと原稿を読んでくれたその評論家の態度は、
僕のようなB級編集者にとって、
結構勇気を与えてくれた。

どこにでも、ちゃんとした人はいる。
その評論家への好感度が増したのは言うまでもない。
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目からウロコや涙が

2006年08月27日 | ささやかな幸せ
東中野で朗読会があった。
仕事で知り合った人が出演していることもあり、
満員の席のいちばん後ろで、朗読を聴く。

その人の名は月乃光司さん。
「こわれ者の祭典」という、
精神的に疾患を抱えた人たちが、
パフォーマンスをおこなう集団のリーダーである。

月乃さん自身もアルコール依存症だ。
何度も入退院を繰り返した病歴の持ち主で、
その体験をもとにした、詩の朗読、というか、
ポエトリーリーディング、というか、
はたまた、絶叫ライブというか。
まさに魂の叫びとも呼べるパフォーマンスで
人気を博している人である。

「僕を苦しめた人に対する、最大の復讐は、許すことだ」

という意味合いの詩を絶叫する月乃さん。
彼のこの詩を聴いて、目からウロコが落ちた。

あなたは最近、何かを、あるいは、誰かを許したことがありますか?
そう訊かれたら、僕はどう答えるだろう。


朗読会のトリは、田口ランディさんだった。
「転生」という自作の絵本の朗読だ。
聴き終わったあと、涙が出た。打ちのめされた。

生きることとは、死ぬこととは、そういうことだったのか。
そんな深淵なところまで連れて行ってくれる、朗読だった。
コメント (2)
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