Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

深さを読みとれ、と教えられた

2006年08月29日 | 映画など
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の新作、
『百年恋歌』を試写で見る。

台湾の映画が好きになったのは、
この監督の映画を見てからだ。
『恋恋風塵』という、悲恋映画だった。
青年と少女の淡い恋。
兵役に行く青年を待っているといいながら、
ほかの男のところに嫁いでいく少女。
それを知った青年は、深く、重く、泣く。
そんな映画だった。

この映画を一緒に見た女の子は、
男の人が泣くのを見るのが珍しかったらしく、
しきりに、青年が泣くシーンのことを話していた。

さて『百年恋歌』だ。
三つの物語が展開するオムニバスで、
『恋恋風塵』のようなセンチメンタルな第1話。
サイレントというスタイルに驚く第2話。
ノイジーで殺伐とした現代を舞台にした第3話。

 百年恋歌(2005)

どれも侯孝賢という監督のテイストを
存分に味わえるお得な作品となっていた。
個人的には、思わず赤面してしまうほど
可愛らしい第1話が好き。

侯孝賢監督には、いちど取材で会ったことがある。
といっても、4誌ぐらいの雑誌が集まって、
監督に質問する合同取材だった。

「物事の深さや本質は、実は表層的なところから見え隠れしている」

と語っていた。
表層的なもの──映画でいうと、画面に映っているもの。
そこから深く読みとれという意味だと思う。
侯孝賢の映画は、いつも楽しく味わっていることは確かだが、
読みとれたかどうかは、ちょっと疑問。
公開したら、もう一度見ようと思う。
コメント
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