ほぼ1年越しの制作期間となった本で、
今日の夕方、ようやく初校が出る。ここまで長かったなあと。
だが校正が出てからが勝負というのが、
この業界の常、というか。まだまだ予断は許さない。
身を引き締めていかないと。
うひょひょひょひょひょ。
ほぼ1年越しの制作期間となった本で、
今日の夕方、ようやく初校が出る。ここまで長かったなあと。
だが校正が出てからが勝負というのが、
この業界の常、というか。まだまだ予断は許さない。
身を引き締めていかないと。
うひょひょひょひょひょ。
うひょひょひょひょひょ。
こっちは疲労困憊で仕事をしているというのに、
性懲りも無く現れやがって、どういう了見だ、邪悪なT君よ。
「冷やし中華がそんなに好きなら、食せばいいじゃないですか~。
ほら~いっぱい売ってますよ~しかも98円で~」
98円だと?
そんなモノは冷やし中華とは言わん。
「まあまあ、たった98円で、
大好物の冷やし中華にありつけるんですよ~。
飽きたら、冷やしたぬきもありますから~これも98円ですね~。
いや~夏の定番がこんなに気軽に食せるとは、
まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね~」
貴様は98円であれば何でもいいのか。
そんな怪しいモノ、誰が食うか。
だいたいどうやって喰うのだ。お湯を入れるのか?
「うひょひょひょ。よくぞ聞いてくれました~。
お湯を入れて捨てたあと、今度は水で冷やすんですよ~。
そのあと水を捨てて、かやくを入れれば桃源郷ですから~」
今日こそ、貴様を桃源郷に送ってやる。
フトコロから44マグナムを取り出し、
ダーティハリーよろしく、思う存分ぶっ放す。
だがしかし、邪悪なT君はびくともせず、
緑色の血をぴゅーぴゅーと出しながら、
せっせとカップ冷やし中華にお湯を入れて3分待つのでした。
桃源郷まであと3分、いや、そのあと水で冷やすから4分か。
うう。今日も暑い。しかもムシムシする。
なんとかならないものか、と思いながら仕事。
なかなか思い通りに進まないので、
やさぐれ度は高まるばかり。
やっぱり、冷やし中華があれば、
なんとかなると思うのだが。
うひょひょひょひょひょ。
うひょひょひょひょひょ。
嗚呼。せっかくいいことを書いていたのに。
前向きに生きようと頑張っているところに、
どうして水を差してくるのだ、邪悪なT君よ。
「水じゃないですよ~お湯ですよ、お湯。
お湯を入れないと焼きそばができないじゃないですか~」
瞬時に殺意が。
今度こそ息の根を止めてやる。
「まあまあ~落ちついてくださいよ~。
でもその落ち着かない気持ちも分かりますよ~。
だってキムチが入ってるんですからね~」
だから何だというのだ。
キムチでも何でも入れればいいだろう。
「そうなんですよ~入ってるんですよ~キムチが。
何とフリーズドライのキムチがちゃんとかやくの中に
入ってるんです~なかなかやりますね~
ギョーザパンチの焼きそばとは大違いですよ~」
知るか。
もう我慢ならん。このくされ外道が!
そう叫び、手元にあったバールで
奴の脳天を直撃。頭を潰せばこっちのものだ。
だが、しかし、
潰れた頭から脳味噌が飛び散るかと思ったら、
なぜか脳髄からキムチが大量に発生しているのでした。
邪悪なT君の頭の中は、まさにキムチで一杯だということか。
本当に真理だと思うことがある。
仕事でも勉強でも、集中できないときは、
とにかくやり始めることが大切だと、よく言われるのだけど、
まさに原稿を書こうとしたとき、どうも集中できず、
ずるずると時間ばかり経っていたときに、
とにかく書き始めたら、2時間もかからずに書けてしまったという。
集中するためには、とにかくやり始めること。それに尽きるんだな、と。
うひょひょひょひょひょ。
うひょひょひょひょひょ。
嗚呼。邪悪なモノがやって来た。
エンドレスで襲いかかってくるのはやめてくれ、邪悪なT君よ。
「エンドレスなのはペヤングですよ~。
次から次へと邪悪なモノを出してくるという、
まさにエンドレスですね~」
この世で最も邪悪なのは貴様だろう。
別にいいではないか。ペヤングだろうとペヨングだろうと。
「そのネーミングっていまひとつアレですよね~。
少しでも上品にしようとする魂胆が丸見えですよ~。
そうやって女子供に買わそうとするのがなんともアレといいますか~」
何がアレだ。意味がわからないではないか。
「確かに意味がわかりませんね~。
だってカップ焼きそばって、とことん下品でどす黒いモノじゃないですか~。
カップ焼きそばを喰らう女子供だって、こんなアレなモノは喜びませんよ~」
下品でどす黒いのは貴様だろう。
すべてのものが邪悪だという言い方をするな。
「邪悪こそわが人生ですよ~。
そのためには、ペヤング、もといペヨングには
もうちょっと修行してもらわないといけませんね~。
もっと量を増やして、アレなソースと具をふんだんに入れて~うひょひょひょ」
それ以上、この男の言葉を聞きたくなかったので、
チェーンソウで、邪悪なT君の首を瞬時に斬り落とした。
しかし、地面に落ちた首は目を見開いたまま、曖昧な笑いを続け、
胴体だけになった邪悪なT君はゆっくりと歩き出すのでした。
向かう先はおそらく、
ペヨングが山盛りに売れ残っている近所のスーパーに違いない。
朝から原稿書き。
夕方近くになってようやくまとまる。
あとは見出しをつけたり、脚注を入れたり。
地道にやっていれば、仕事はいつか終わると思いたい。
エンドレスだと思うとやってられないというか。
うひょひょひょひょひょひょ。
うひょひょひょひょひょ。
嗚呼。先が見えないと思ったら貴様の仕業か。邪悪なT君よ。
性懲りも無く現れやがって。まだ孵化するには早いだろう。
「そうなんですよ~でも、あまりのアレに思わず孵化しちゃったじゃないですか~。
だってギョーザですよ~しかも焼きそばですから~」
焼きそばでギョーザって何だ。
具がギョーザなのか。邪悪過ぎるだろう。
「誰だってそう思いますよね~。
でもギョーザなんてこれっぽっちも入ってないんですよ~。
ギョーザのタレがソースになってるだけという、なんともアレな感じというか」
訳がわからない。
貴様は何を言っているのだ。何がそんなに嬉しいのか。
「心外ですね~嬉しいわけないじゃないですか~
だって、てっきりギョーザが入ってると
思い込んでましたからね~騙されましたよ~。
昔、お好み焼き入りのカップ焼きそばがありましたけど、
アレにはちゃんとお好み焼きらしきモノがあったんですけどね~。
でもコストがかかりすぎて、具は他に何もないという大変なアレで~
いや~あのときは参りましたよ~うひょひょひょ」
確信した。貴様が存在すること自体間違っている。
孵化する前の卵の状態のときに殲滅しておくべきだった。
そう呟いて地団駄を踏んでいたら、
邪悪なT君は、そんなことなど全くお構いなしに、
ギョーザのタレの匂いを充満させながら、
嬉々としてそのどす黒い体をシャカシャカと震わせるのでした。
冬が終わり、春がもうすぐそこまで来ている。
そう、邪悪な春が。
しばらく保留になっていた本の進行が
再始動ということで、いろいろと打ち合わせ。
なかなか厳しいミッションになりそうで、どうなることやら。
もう少し進めていかないと、先が見えないというか。
うひょひょひょひょひょひょ。
うひょひょひょひょ。
嗚呼。寒い。心が寒い。
貴様のせいで心が冷え切ってしまったではないか。
どうしてくれる、邪悪なT君よ。
「どこが寒いんですか~。
だってコレを見たら、身体の底から熱くなるはずですよ~」
知るか。焼きそばにチョコだと?
狂気の沙汰としか思えないだろう。
「いや~ご乱心ですね~一平ちゃん。
でも~これくらいやってくれないと、桃源郷は見えてきませんよ~」
あり得んだろう。
誰がこんなモノを食すというのだ。
「そりゃ~世のOLがたくさん買うんじゃないですか~。
ほら、バレンタイン仕様ですからね~義理チョコにぴったりですよ~」
貴様、これのどこがチョコだ。
焼きそばだろう。
「その曖昧なところがチョコ、いやミソなんですよ~。
義理チョコっていってもけっこう出費が痛いじゃないですか~。
だから気に入らない上司には、200円ぐらいで済むコレをあげるんですよ~。
一平ちゃん、なかなかのマーケティングですね~」
貴様から「マーケティング」という言葉が聞けるとは思わなかった。
こんなモノをもらった上司が喜ぶはずはないだろう。
「食したら、すぐ桃源郷に行っちゃいますから大丈夫ですよ~。
バレンタインが楽しみですね~。
まあ本命チョコでもらうのがベストですけどね~うひょひょ」
貴様は200円のチョコで満足するのか、
いや、チョコじゃない。焼きそばだ。
と自分で自分を突っ込んでいるうちに、
邪悪なT君はいつのまにか姿を消し、あとに残ったのは
焼きそばのウスターソースとチョコが
渾然一体となった匂いだけでした。