山下敦弘監督「カラオケ行こ!」を見る。
なんか、すごく満たされてしまった。
こういうゆるゆるのコメディが見られれば、無問題。
生きてて良かったとさえ思えるぐらいなのです。

和山やまの原作コミックは未読だけれど、
ストーリーは単純明快。ヤクザの男から
歌のレッスンを頼まれた合唱部の高校生が主人公。
齋藤潤演じる高校生は堅物で真面目。
ヤクザの綾野剛はいやに人なつっこくて、
それでいて凄味を垣間見せる好演。
ギャップのあるバディものという設定だけで
安心して見られるというか。コメディの定番だなあと。
本作で特筆すべきは、傍役の人たちだ。
合唱部の仲間たちとか、顧問の先生とか、
齋藤潤の両親とか、綾野剛のヤクザ仲間とか、
決して主役のふたりを喰わずに、それでいて、
ちゃんと傍役としての役目を全うしている感じ、
と言って伝わるだろうか。
よくよく見ると、
顧問の先生を演じているのは芳根京子だ。
映画が始まってから、
ずっと芳根京子という女優を意識せず、
ただの能天気な先生だと思って見ていたのだ。
これってなかなか珍しいことだと思う。
シネフィルなんか特に、あの俳優があそこで出てたとか、
そんなコトばかり気にしてしまうわけで。
芳野京子だけでなく、主役以外の人は、
映画の世界観にいい意味で埋没していて、
そうした演出をする山下監督の凄さを感じる。
合唱部のメンバーで、
なにかと正論を吐いて輪を乱す男の子が、とてもいい。
あと、部をそれなりにちゃんと仕切っている
副部長の女の子もいい味を出している。
この人たちも俳優なんだろうけど、
もう本物の合唱部のメンバーにしか見えない。
齋藤潤が入っている
VHSビデオで昔の古い映画ばかり
見ている映画研究会みたいな部活の描写が素晴らしい。
ぼーっとビデオを見ているだけの場面が
本作のオフビート感を倍加させる。
もし自分が高校時代、こういう部活があったら、
どんなに救われただろうと思う。
そんな苦渋に満ちた青春時代を送った人(お前だけだ)なら、
感動必至の青春映画なのです。